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2022.05.31 07:30

高齢者にコンパニオンロボット、NY州が「つながり」支援で導入

Getty Images

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ニューヨーク州は高齢化社会に対応した新たな取り組みとして、人間とやりとりできるロボットの活用を進める計画だ。テック系ニュースサイト「The Verge」によると、イスラエルのイントゥイション・ロボティクス(Intuition Robotics)が開発したコンパニオンロボット「ElliQ(エリーキュー)」を高齢者800人あまりに提供する。

同社によると、ElliQは高齢のユーザーに「よりアクティブで人々とつながったライフスタイル」を促す「親身なケアコンパニオン」ロボット。ちょっとした会話をしたり、ジョークを言ったりするほか、タスクのリマインドをしてくれたり、ショートメールや動画アプリを使って友人や家族とつなげてくれたりもする。

ニューヨーク州高齢化局のグレッグ・オルセン局長はThe Vergeの取材に、ElliQが能動的なツールであることや、相手とのやりとりを覚えるところ、健康・幸福やストレス軽減、睡眠、水分補給が重視されている点などに魅力を感じたと述べている。

ニューヨーク州には高齢者が430万人ほど暮らす。米保健福祉省によると、全米では2019年時点で65歳以上の高齢者人口が約5400万人にのぼると推定されている。このように米国をはじめ各国で人口の著しい高齢化が進むなかで、高齢者の生活の質を向上させる手助けをするというのがElliQの目標だ。

ここ10年で、高齢者のサポートはヘルスケア分野で喫緊の課題のひとつになった。保健福祉省は2017年にまとめた報告書のなかで、米国では高齢者数の伸びに老年病専門医の増加ペースが追いつかず、2025年には国内のすべての地域で不足する見通しだと警鐘を鳴らしている。

コンパニオンロボットは、こうした医師不足がもたらす欠落を多少は埋めることができそうだ。とはいえ、それだけでは不十分なのは明らかだ。高齢化に対応した医療体制の整備では、高齢者ケアに携わる医師や専門家の育成強化のほか、高齢者向けリソースや支援プログラムの拡充、ケアへの全般的なアクセスの改善など、包括的な取り組みが求められる。

編集=江戸伸禎

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