ハイリスク・ハイリターンであるスタートアップへの投資において、より多くの投資家を呼び込むためには、大規模ファンドをつくってリスク分散を図ることが重要である。リスク分散化のひとつの方法は、投資を証券化して、多くの企業への出資証券を集めたファンドに優先劣後をつけて再証券化することである。そうすることで、AAAからBまでの格付けの証券を切り出すことができる。
これは、米国で2007〜08年にかけて起きたサブプライムローン問題の発端となったCDO(債務担保証券)の商品設計と同じである。サブプライムローンのときには、格付けが甘かったり、結果的にではあるがCDOの相関性が高かったことから大問題に発展したが、設計さえ間違えなければ、リスク分散と、リスク選好の異なる投資家を呼び込むことができる。
日本でユニコーン企業数が飛躍的に増加すれば、日本経済成長の新しいけん引役になることができる。イノベーションを起こすことで、若い起業家や従業員の収入も増やすことができる。ミレニアル世代の救世主となるだろう。
伊藤隆敏◎コロンビア大学教授・政策研究大学院大学客員教授。一橋大学経済学部卒業、ハーバード大学経済学博士(Ph.D取得)。1991年一橋大学教授、2002〜14年東京大学教授。近著 に『Managing Currency Risk』(共著、2019年度・第62回日経・経済図書文化賞受賞)、『The Japanese Economy』(2nd Edition、共著)。