ビジネス

2022.10.25

早くも「減産」が報じられるiPhone 14、アップルの成長神話は崩壊か

Getty Images

アップルは今年のiPhone 14シリーズで大きな賭けに出た。最大のアップグレードをProモデルのみにすることで差別化を図り、標準モデルの価格をほぼ据え置きにして売上げを維持しようとしたのだが、それはうまく行っていない。

複数のメディアがiPhone 14とiPhone 14 Plusの売上が予想以下だと報じている。アップル初の手頃な価格の大画面端末であるiPhone 14 Plusの売上は、iPhone SE3やiPhone 13 Miniを下回っているとされる。アップルは今年の最新モデルでMiniをキャンセルし、その代わりにPlusを投入していた。

ここ2、3日の報道は、さらに厳しい状況を示唆している。Digitimesによるとアップルのサプライチェーンパートナーは、iPhone 14 Plusの生産を40%削減するよう命じられた。

さらにThe Informationによると、iPhone 14 Plusの生産は一時的に停止され、調達チームは製品の需要を再評価しているという。情報筋によると、このモデルの2つのサプライヤーは、それぞれ70%と90%の減産を指示されたという。

著名アナリストのミンチー・クオは、自身のブログでiPhone 14とiPhone 14 Plusの売れ行きが「悪い」と述べ、「アップルの標準モデルの製品セグメンテーション戦略は、今年失敗した」と書いている。

アップルにとっての救いは、iPhone 14 ProとiPhone 14 Pro Maxの売れ行きが比較的良好なことだ。ブルームバーグは両モデルの販売を "堅調 "と表現し、クオはアップルがiPhone 14の生産ラインをiPhone 14 Pro向けに切り替えたことで、「第4四半期のプロダクトミックスが改善されるだろう」と述べている。

しかし、問題はこの戦略が持続不可能であることだ。The Informationのウェイン・マー記者は、「少なくとも1つのサプライヤーもiPhone 14 ProとPro Maxのパーツを増産するよう支持されているが、iPhone 14 Plus向けのパーツの減産と比べれば、取るに足らない増産だ」と説明した。

この状況は短期間で好転しそうにない。アップルはここ最近、米国と中国を除くほとんどの国で、製品の価格を引き上げたが、来年はこの2カ国においても値上げに踏み切ることになりそうだ。
次ページ > 「Apple税」の価値低下の危険

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事