ウガンダのエボラ出血熱の流行阻止は世界的な優先事項だ

エボラ出血熱のウィルス(Getty Images)

ウガンダ現地時間2022年9月11日、24歳の男性が体調を崩し、9月20日までに死亡が確認された。こうして、ウガンダで4回目のエボラ出血熱の大規模流行が始まった。

エボラ出血熱のウイルスは、動物から人へ感染することもある伝染性のウイルスだ。エボラ出血熱ウイルスは、たとえば新型コロナウイルス感染症の原因ウイルスであるSARS-CoV-2のような呼吸器系病原体ほどは感染力が強くないため、世界的なパンデミックを引き起こす可能性は低いと考えられている。とはいえ、西アフリカ諸国で2014〜2106年に流行したような地域的な流行が起こらないとは言い切れない。

しかも、エボラ出血熱は発病後の致死率が非常に高い。最近の流行では、確認された症例の半数以上が死亡している。

ワクチンは、近年のエボラ出血熱の発生を抑える上で重要な役割を果たしてきた。大部分のエボラ出血熱は、「エボラウイルス」と呼ばれる一変種によって引き起こされてきたが、そのウイルスには有効なワクチンが用意されていた。しかし残念ながらスーダン変種による今回のエボラ出血熱に対しては無力だ。

もう1つの懸念は、既知の症例がどの程度分散しているかだ。最初の発生からまだ1カ月も経っていないが、5つの地区で患者が確認されており、中には数百キロも離れている地区もある。これは、ウイルスがコミュニティ内で認識されないまま広がり、実際にはまだ広がっている可能性があることを示唆している。

現在、米国はウガンダから入国する航空旅客のスクリーニングの開始を決定し、CDC(米国疾病予防管理センター)はウガンダに対して渡航警戒レベル2を発令している。渡航警戒レベル2は、渡航者がその場所へ移動する際には、より強い警戒をする必要があることを意味している。この場合の「警戒」とは、対象地域への不要不急の渡航を避ける、病人との接触を避ける、症状や徴候に注意するといったことだ。米国到着後に症状が出た旅行者は、隔離を行い、公共交通機関の利用を避け、医師の治療を受けるよう要請されている。

現在、ウガンダで発生している感染症は、グローバルにつながった社会が、感染症の発生場所にかかわらず脆弱であることを思い出させる。病原体が蔓延してから感染を抑えるよりも、発生源で流行を食い止める方がはるかに費用対効果が高い。ウガンダが現在の感染症をコントロールするために必要としている支援は、間違いなく投資に見合うものとなるだろう。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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