ビジネス

2022.10.15 11:30

京都・飯尾醸造の「お酢」がミシュランシェフたちに選ばれる理由


──そういった会社の方向性を社内に浸透させ、皆が目指すものに向かっていくために、他に努力されていることはありますか?

実は、うちのスタッフは自社のお酢を無料で使い放題にしています。造り手なのに自分のお酢の味を知らないというのは喜ばしいことではないでしょう?

そして「浮いたお金で他の調味料もきちんとしたものを買ってください」と伝えています。これはお客様と同じ目線で話ができるようになるためです。うちのお酢を買ってくださるお客様は、他の調味料も厳選して買う方が多いですから。

そういったことのほかにも、部署を超えた食事会を開いたり、社員旅行でうちのお酢を使っているレストランへ行ったりしています。皆が頑張ってつくったお酢がどこでどう使われているか知る、ということは本当に大切だと思っています。


参加者に田植え体験会の趣旨を説明する飯尾さん(左)

──最後に、これからの飯尾醸造の未来をどうしていきたいですか?

未来については、強いて言うなら「横展開」をしていきたいですね。自社を大きくするというより、きちんとお酢をつくってきた経験を、同じようにきちんとものづくりをしていく人たちに移植したいと思っています。

本業のお酢屋はもちろんですが、そこからもっとほかにやれることはないか、常に模索していきたいと思っています。

連載:地域経済とソーシャルイノベーション
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文=齋藤潤一

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