キャリア・教育

2022.10.08 17:30

ある日、呼吸を奪われた。それでも私は楽しむ|#人工呼吸のセラピスト


彼女の活動ぶりを知ってもらうために、まずはブログのひとつを紹介する。

押富さんは、2016年に地域福祉、障害者福祉の啓発を目指すNPO法人ピース・トレランスを立ち上げた。「平和と寛容」を意味する団体名だ。

設立から8カ月後、押富さんは、「ごちゃまぜ運動会」という企画を思い付き、同団体のブログに、こんな告知を載せた。



第1回 ごちゃまぜ運動会【障害体験×運動会】を開催したいと思います!!

まず、大事なコト。
ごちゃまぜ運動会とは…
障害のある・なしに関わらず、みんなで一緒に楽しむことができるインクルーシブ(=ごちゃまぜ)な運動会です。

*豆知識:当法人代表の押富が勝手に命名して公表してしまった…みんなには事後承諾…(^_^;)

障害の有無や性別、年齢など様々な分類で分けることなく、みんなが一緒に参加して、同じ時間を共に過ごし、場を共有できる…そんなインクルーシブな場にしたいと思っています。

なんだかんだキレイ事を言ったとしても、障害を持っている人と持っていない人の間には壁や溝があるように思います。

ただ、それは一方的ではなくて、お互いの理解のなさから起こっているもののような気がします。

今回の企画である運動会は「障害体験×運動会」がコンセプトです。

運動会の競技と障害体験を掛け合わせて、楽しみながら…

「障害」って何だろう?
どんなことが大変なんだろう?
どんなことは出来るんだろう?

いろんなことを体験しながら体感してもらいたいと思い企画しました。

「知る」きっかけ、「知ってもらう」きっかけ…

一方的にいきなり「理解してほしい」というには無理があると思うので、まずは「きっかけづくり」から。

「無関心」が最大の障壁だといわれています。

だったら、関心を持ってもらいやすいようにレクリエーション的な要素を加えた体験企画でね(*^-^*)=2017年7月14日


この告知文、平易な文章ながら深いことを語っている。

中でも「勝手に命名してしまった」という「インクルーシブ=ごちゃまぜ」は、かなり思い切った意訳だ。

この前年4月に障害者差別解消法が施行され、障害者の人権保障や社会生活への平等な参加がうたわれて、それぞれの障害の特性や困りごとに応じた「合理的配慮」が必要であると、職場や学校などに求められるようになった。

その重要な理念が「インクルーシブ」で、あらゆる人が孤立したり、排除されたりしないよう援護し、社会の構成員として包み、支え合うことを提唱している。でも「包み込む」「排除しない」と言われても、一般市民にはなかなか伝わらない。
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文=安藤明夫

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