「米国のZ世代の8.9%がスケーターだというデータがある。彼らのためのWeb3のプロダクトが存在しないのはおかしなことだ」
そう話すフィリモノフは、世界中のスケートボーダーがお気に入りのスポットを地図上に記録するアプリShredSpotsを、ブロックチェーンとNFTを用いたクリエイターのためのプラットフォームに育てようとしている。
このアプリは、間もなく実施されるアップデートでAR(拡張現実)機能を実装し、街のあちこちでスケーターたちが生み出したトリック(技)を動画で確認できるようになる。さらに、そのビデオを位置情報と組み合わせてブロックチェーン上に記録し、NFTとして販売する計画も進行中だ。
「スケートボードやBMXなどのエクストリームスポーツのプレイヤーは、単なるアスリートではなく独自の表現を追求するアーティストだ。彼らが生み出すアートをNFTとして形に残し、マネタイズを支援していきたい」
そう語る彼のチームには、東京五輪に出場したカナダのプロスケートボーダー、アンディ・アンダーソンらが参加している。
筆者がフィリモノフと出会ったのは、6月にニューヨークで開催されたNFTのカンファレンス「NFT.NYC2022」の会場でのことだった。世界から1万5000人以上が集まった4日間のイベントには、アートやファッション、スポーツ、ゲームなどの多様なジャンルの関係者らが集い、著名なDJを招いたクラブイベントが連日行われた。そこで偶然出くわした彼は、大学卒業後に立ち上げたキエフのナイトクラブを成功させ、2016年にウクライナ版フォーブスの若手起業家のためのアワード「30アンダー30」を受賞後に米国にやってきたと打ち明けてくれた。