NFTでスケートボーダーを支援するウクライナ人起業家の挑戦

レフ・フィリモノフ。1986年生まれ。クリミア半島のセバストポリ出身。2011年にキエフのナイトクラブBoom Boom Roomを設立し、2016年にウクライナ版フォーブスの「30アンダー30」を受賞。2017年に渡米し、2018年にホスピタリティ業界向けのテクノロジーに特化した投資会社LA FUNDを設立。2019年にスタンフォード大学の社会人向けプログラムVC Unlocked を修了。2021年2月にFree2Shredを設立。同社を2022年にShredSpotsとしてリブランド。

ウクライナ出身の36歳の起業家、レフ・フィリモノフ(Lev Filimonov)が設立したスタートアップ「ShredSpots(シュレッドスポッツ)」は創業2年足らずでユーチューブやスナップの元幹部らを巻き込んで、Web3の注目企業に浮上しようとしている。

「米国のZ世代の8.9%がスケーターだというデータがある。彼らのためのWeb3のプロダクトが存在しないのはおかしなことだ」

そう話すフィリモノフは、世界中のスケートボーダーがお気に入りのスポットを地図上に記録するアプリShredSpotsを、ブロックチェーンとNFTを用いたクリエイターのためのプラットフォームに育てようとしている。

このアプリは、間もなく実施されるアップデートでAR(拡張現実)機能を実装し、街のあちこちでスケーターたちが生み出したトリック(技)を動画で確認できるようになる。さらに、そのビデオを位置情報と組み合わせてブロックチェーン上に記録し、NFTとして販売する計画も進行中だ。



「スケートボードやBMXなどのエクストリームスポーツのプレイヤーは、単なるアスリートではなく独自の表現を追求するアーティストだ。彼らが生み出すアートをNFTとして形に残し、マネタイズを支援していきたい」

そう語る彼のチームには、東京五輪に出場したカナダのプロスケートボーダー、アンディ・アンダーソンらが参加している。

筆者がフィリモノフと出会ったのは、6月にニューヨークで開催されたNFTのカンファレンス「NFT.NYC2022」の会場でのことだった。世界から1万5000人以上が集まった4日間のイベントには、アートやファッション、スポーツ、ゲームなどの多様なジャンルの関係者らが集い、著名なDJを招いたクラブイベントが連日行われた。そこで偶然出くわした彼は、大学卒業後に立ち上げたキエフのナイトクラブを成功させ、2016年にウクライナ版フォーブスの若手起業家のためのアワード「30アンダー30」を受賞後に米国にやってきたと打ち明けてくれた。
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取材・文=上田裕資

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