全力でシンギュラリティに向かって仕事する
吉田:僕は2002年に「マーケットプレイス」を立ち上げる仕事をしていたんですが、現在はアマゾン本社の国際リテール部門で上級副社長を務めるディエゴ・ピアセンティーニ氏がやって来て、「最終的に残るのはお前らの組織だけだ。他は全部自動化されて、ベゾスがポチッとボタンを押せばこの会社の全部が動くようになる」って言ったんですよ。
岩井:そうそう。「ゆくゆくは自動化される、人がやらなくなる」未来が表に出ていて、社内でもおおっぴらに話されているのに、社員全員で全力で、自分たちが必要でなくなる「自動化」目的に向かって仕事している。不思議な、特殊な環境だな、とは思っていました。
原田:私はもう少し深読みしていたかな。自分たちが今やっている仕事をいかに効率化して、次にやるべきことへ移るか、そのプロセスがすごく大事だと思っていました。それに、最終的にもし全部がAIに置き換えられて無人化されても、社員はみんな株を付与されていましたから。企業価値が上がれば社員にもメリットがあるだろう、というような企業哲学だったのかな、とは思います。
藤田:うん。自動販売機は作っているんだけど、平行して「AWS」や「Kindle」などのビジネス基盤も誕生した。人が頭を使う場所も常に生まれている状態が、ベースにはありますね。
吉田:アマゾンは徹底して、新しいことを次々にやるじゃないですか。そうすると、その新しいプロジェクトが既存部門の「スター選手」たちを吸いこんでいく。そうして集まったスター選手の中から、さらに新しい部門へ抜けていく人が出てくる、そうやって新陳代謝が上がっていく。
新しいものを作り続けることで、開かれたヘッドハントが常に社内のどこかに起きていく。つまり優秀で意欲さえあれば、常時新しいことにチャレンジできるというのが、アマゾンの組織内エコシステムのポジティブな作用であり、成長の源泉だと思います。
吉田健史VP of Solution Partner & BizDev
文書はすべて、いったん「英語に落とし込む」
──Peatixはニューヨークやクアラルンプールなど、国際的に展開しておられます。国境を越えた社員の転籍もありますか?
原田:希望者も多いですし、実現させている人もいますよ。われわれの業態では、どこに住んでいるかはあまり重要でないですから。
──会議や文書などの共通言語は英語ですか?
吉田:一人でも日本語が使えないメンバーがいる場合は、会議も含めて全部英語で行います。ただ、今は翻訳ツールの技術的発展も目覚ましいですから、英語が話せない人と日本語が話せない人のあいだでも問題なく会話が成り立ちます。英語そのものにアレルギーさえなければ普通にコミュニケーションを取れる時代になっている気がしますね。