では、会員数840万人を超えるこのサービスはいったいどんな人物たちによってつくられ、維持されているのか。
同社のボードメンバーは、アマゾン ジャパン立ち上げ直後からの数年間、デスクを並べて働き、巨大EC創生期をともに疾駆した僚友たちだ。とくにうち3名(吉田、岩井、藤田)は2002年、「マーケットプレイス」スタートアップのチームメンバーであり、一大プロジェクトの歴史的立ち上げを目撃した間柄でもある。
過酷なアマゾンでの仕事環境下、当時20〜30代だった彼らは、仕事の合間、ともにとことん遊んだという。昔も今も「究極の飲み仲間」でもあり続ける原田卓CEO、藤田祐司取締役CMO、岩井直文CSO、吉田健史VP of Solution Partner & BizDevの4名に、アマゾンでの体験とPeatixの強さを聞いた。
アマゾンは「巨大な自動販売機」だった
──アマゾン ジャパン(以下アマゾン)立ち上げ後の同時期、成功体験を分かち合い、辛酸をも舐めた体験を抜きにして皆さんはおらず、Peatixの存在もないかもしれません。そこで、当時ジェフ・ベゾスに直接薫陶を受けた超初期のメンバーとして、たとえば「OLP」と呼ばれる14項目の「リーダーシップ・プリンシプルズ」をどのように活かしているかをうかがえますか。
原田:アマゾンの機能や技術モデルの作り方は多くの日本企業が参考にしていると思いますが、われわれの場合、かつてアマゾン社内にいたことはもちろんかなり有利ですよね。
まず、PeatixでもアマゾンのOLPを参考に7つのプリンシプルズ(仕事の原則)を作っています。14項目の「リーダーシップ・プリンシプルズ」からピックアップしたり、組み合わせたりしました。
原田卓CEO
中でも、最も参考にしたのは「Bias for action(バイアス・フォー・アクション=ビジネスではスピードが重要で、多くの意思決定や行動はやり直すことが可能。だから、事前調査や検討に過剰な時間をかけず、計算されたリスクを取る)」です。
アマゾンの企業文化そのものに感銘を受けたという思いは、私自身にはないです。非常に厳しい文化があったことも事実で、賛同できない部分もあったからこそ、飛び出してイチから自分たちの会社を作ろうとした経緯がありますから。