ビジネス

2022.09.28 08:00

文書はいったん全部英語に。Peatix「27カ国展開」の原点

(左から)吉田健史Peatix JAPAN VP of Solution Partner & BizDev、岩井直文代表取締役、原田卓CEO、藤田祐司取締役CMO


吉田:僕は2007年にいったんアマゾンを退職してから、2017年に復職しました。戻ってみると、2000年代とは企業文化がかなり変わっていましたね。
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たとえば立ち上げ後数年間のアマゾンは、それぞれの社員が自分の「思い」や個人の裁量でずいぶんと色々なことができていた。ですが、立ち上げ後20年程度経過するうちにそういった風土はやや薄まり、数字を見て目標を達成することがどうしても優先されるようになって、より厳しくなった印象でした。とくに「現在の」アマゾンと比べた場合、Peatixの企業文化はまったく異なっていると思います。

藤田:たしかに、私が在籍した2003~2009年の頃は「とにかく試せ、チャレンジだ!」という空気だった。スタートアップらしい、自由な文化もありましたよね。

岩井:当時のアマゾンはPMF(プロダクトマーケットフィット)がバッチリできあがっていた。つまり、顧客満足を叶えるサービスを提供し得ており、それが適切な市場に受け入れられている状態でした。それを背景に急成長していて、とにかく「何をやっても上手くいく」時期だったので、当然、楽しいですよね。ところがそのノリで起業してみたら、全然うまくいかない(爆笑)。びっくりしました。
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藤田:ビジネスをいくつも潰しましたからね、立ち上げては潰し、って(笑)。


藤田祐司取締役CMO

岩井:Peatixには僕ら以外にもアマゾン出身のメンバーが多いのですが、「アマゾン・ウェイ(アマゾンらしさ)」を全面に出しすぎると他のメンバーが共感できなくなる。なので、アマゾンのことはあくまでも「参考」にとどめて、自分たちのカルチャーを作るように心がけています。

──原田さんが感じた「2000年代初めのアマゾンの厳しさ」を具体的に言うと?

原田:ジェフ・ベゾスは、いわば「巨大な自動販売機」を作ろうとしている印象でした。そこで働いている「人」に対する思いは比較的薄いのかな、と。組織というより「仕組み」作りに重きが置かれていて、それがある種の冷淡さに繋がっているかな、と感じていました。

私自身はまだ若く血気盛んで、とにかくまずは「吸収したい」人生のフェーズにいたので適応できましたが、そうでない人もいたはずですよね。

藤田:人もシステムも、新陳代謝のスピードがとにかく速かった。
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構成=石井節子(文=松尾優人) 撮影=曽川拓哉

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