──今回の発表会の段階でパートナーを広く募集され、まず一番に「技術やサービスの提供、共同開発に関心のある企業・団体」を挙げられました。
次の世代や未来にアイデアを持っている、専門家の方々の協力が不可欠ということで、広くパートナーを募集することにしました。すでに数十件、様々なジャンルからのお問合せをいただいています。
スポーツテックのスタートアップや観戦体験をアップデートできる技術やサービスを持つ企業、また、環境技術を持った企業などを想定しています。
実はこのエリアは、エンターテインメントをやるのに良い場所ではあるのですが、一方で法律や条例などの規制が多い。そういった面でも、色々なご提案を期待しています。先日「宇宙」に関する提案をいただいたのですが、このような未来を見据えた内容も実現に向けてしっかり考えていきたいと思っています。
──スポーツを支援する理由について、トヨタ自動車の早川副会長は「スポーツ(自体)をサステナブルな存在にして、日本全体の元気につなげていくために、やることがたくさんある」と発言されています。新アリーナではどう体現されますか?
景気の影響を受けやすい企業スポーツにおいて、トヨタ自動車は不況だけを理由に廃部したことがないんです。そして様々な競技において、育成から世界のトップレベルまで、経済面だけでなく運営面においても、幅広いサポートを継続して行ってきました。これもある意味、サステナブルだと思っています。
トヨタ自動車代表取締役副会⻑の早川茂氏
こういったイズムを受け継いで、子どもから高齢者まで、皆さんに使っていただけるアリーナにしたい。バスケにとどまらずあらゆる競技、パラスポーツにも力を入れていきたいと考えています。
施設面でも色々な使用目的に対応できるよう、メインアリーナ、サブアリーナ、そして屋外のスポーツパークとファミリーパーク、4会場を備える設計にしています。もちろん、トップスポーツ、ライブ・エンターテインメントの舞台としても、来場者をワクワクさせるアリーナにしたいです。
TOKYO A-ARENA(仮称)外観イメージ
──パラスポーツのほかに、意識している競技は?
屋外競技、スケートボードやBMXといったアーバンスポーツも、アリーナでやってみたいという思いがあります。
発表会で川合俊一さんが、屋内でビーチバレーをやると、ビーチでは聞こえないスパイクの音がすごく響き渡って、また違った迫力が楽しめるとおっしゃっていました。砂の問題がありますが(笑)、こういったチャレンジもしていきたいです。
TOKYO A-ARENA PROJECT 合同発表会
──そういった壮大なビジョンを、組織としてどのように実現していくのでしょうか。
アリーナプランニング部という専門部署を新設しましたが、現在6名のメンバーでやっていますので、まだまだ増やしていかなければなりません。運営会社として、あらゆる業務を担うことになりますので、ゆくゆくは50人くらいは必要ではないかというイメージを持っています。
この人材の募集についても、発表会を開催した大きな目的の一つです。
専門のスキルを持った方はもちろん、先ほどのサステナブルの観点から、ご自身の経験や資格や能力をこう活かせる!というアイデアを持った、未経験の人材も採用して、育成していきたい。そのための体制もしっかり整えていきたいと考えています。
>> 後編へ続く:Bリーグ アルバルク東京「勝負の一年」 林社長の戦略と勝算
林 邦彦◎トヨタアルバルク東京代表取締役社長。1964年10月東京生まれ。同志社大学文学部卒業後、三井物産入社。建材、不動産、サービス事業等に携わり、ドイツ、ベトナム駐在から帰国後、2012年5月に三井物産フォーサイトへ出向。広島東洋カープ、中日ドラゴンズのスポンサーシップマーケティング業務に従事する。2016年、Bリーグ開幕に向け設立されたトヨタアルバルク東京への出資に伴い要請を受け、現職就任。