「週休3日制」に移行し、その効果を最大限する実績ある戦略

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週休3日制の概念はシンプルだ。4日働いて5日分の仕事をし、5日分の給与を得るというもの。しかし組織を率いる者や管理職にとっては、その可能性と同じくらい多くの疑問がある。この選択には見合う価値があるのだろうか。週5日働く人は本当に必要なのだろうか。

アンドリュー・バーンズの著書『The 4 Day Week(週休3日制)』は、自身の会社(Perpetual Guardian)が行った働く日を減らすという実験から得られた多くの前向きな結果を紹介している。

実験では勤務の凝縮が見事に機能した。従業員は以前の80%の労働時間で生産性が25%向上した。バーンズは週休3日制の伝道師となり、世界的な潮流が生まれた。実際のデータによって証明された画期的なコンセプトは魅力的だ。しかし新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)以前は、週休3日制は少し過激だった。

だが今、週休3日制は支持されつつある。人材不足、エンゲージメントギャップ、ストレスレベルの上昇、大量退職時代などさまざまな問題を解決するために優れた人材管理戦略が必要とされている。従業員の福利厚生を向上させる必要があり、人々がより多くの時間を自分の生活に費やされるようにすることは少ない労働時間でより良い仕事をする限り明らかに解決策となる。

バーンズの非営利団体は多忙で、何百もの企業が週休3日制を試験的に導入するのをサポートしてきた。11月に終了する英国での6カ月間のグローバルな試験プログラムには72社が参加している。似たような試験がアイルランド、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、そして米国でも行われている。しかし週休3日制が生産性を高め、従業員の幸福度を向上させるという研究結果があるにもかかわらず、二の足を踏んでいる企業もある。重要なこととの1つは適切に実行することだ。ただ金曜日を休みにすればいいというものではない。そんなことで大変革はもたらされない。

そこで、ここでは週休3日制のメリットを効果的に活用するための実績ある戦略を紹介する。

1. 回復力のための再設計と考える


従業員が幸せだと回復力のある労働力となる。しかし組織の回復力を高めるには、より多くの人材をひきつける必要がある。試験プログラム「4DayWeekGlobal」が挙げている統計の中に、次のようなものがある。週休3日制の従業員の78%が幸せでストレスが少ないだけでなく、63%の企業が週休3日制の方が人材を集めやすいと感じている。より良いエンゲージメントと低い離職率が回復力を高める上で目標となる。

2. 80 / 100をルールとすべき


週休3日制を採用している150社以上の企業の一部が週休4日制を4日分の給料で提供している。それはパートタイム労働だ。もし組織とともに成長しようとする熱心な従業員を惹きつけたいと考えているなら、再考してほしい。

80 / 80にすれば、1日でも働く日を少なくしたい応募者が集まるかもしれないが、そうした人は社への忠誠心が固まらず、別の仕事はしないまでも、少なくとも精力的に副業に励むようになる可能性が高い。また、週休3日制で給与を全額支給する会社に優秀な人材を奪われる可能性が高い。
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翻訳=溝口慈子

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