「週休3日制」に移行し、その効果を最大限する実績ある戦略

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3. 従業員の幸福だけでなく、経営上のメリットにも目を向ける


驚くことではないが、多くのハイテク企業は週休3日制が自分たちの職場環境に合っていると感じている。しかし単に新しい特典として提供すればいいというものではない。週休3日制は営業経費を削減する。2019年8月に週休3日制を実験的に導入した日本マイクロソフトを例に挙げる。生産性が40%向上した一方で、電力使用量は23%減り、また書類印刷の枚数は60%減少するなど経費は縮小したという。現場の経費を削減したい組織にとって週休3日制は大きな違いを生む。

4. 管理職が反対すると決めつけない


実際、多くの管理職が賛成している。サンフランシスコ拠点のeコマース開発会社ボルトは、550人のフルタイム従業員を抱えているが、91%の管理職が週休3日制の継続を望んだため、このプログラムを恒久化した。従業員の有給休暇やフレキシブルなスケジュールを管理している管理職にとっては、このシフトは新鮮でわかりやすく、間違いなく自分たちも使うことができる余裕を与えてくれる。どこの職場でも意見の一致を見るのは難しいものだが、ボルトでは94%の社員が3カ月間の試験運用の継続を希望し、84%が生産性が向上した、86%が時間の使い方が効率的になった、84%がワークライフバランスが改善されたと回答している。管理職の立場からすればこれは勝利と言える。

5. 科学を受け入れる


働き方に関する科学は人材管理の方法を変えつつある。スタンフォード大学の神経科学者アンドリュー・ヒューバーマンは、大人の脳は深く集中して「ディープワーク(Cal Newportの造語)」をすることで、よりよく学習することを発見した。注意散漫になることなく何かに集中する能力は従業員に要求する数え切れないほどの仕事では重要だが、週5日9〜5時の勤務体制ではそのような精神状態は望めない。長時間にわたって集中することはできないのだ。脳科学の見地から、物事を成し遂げるには勤務日が少ない方が効率的であることは明らかだ。

6. 指標を変え、会議を変える


大半の組織が機能するための基礎となるのが指標と会議だ。高度な分析ツールはあっても、適切な指標を使用しているとは限らない。従業員が職場にいるかどうかではなく、従業員が何をしているかに注目すればいい。会議に関しても、1日に1時間の会議を何回か持つという現状はすでに変わりつつあるが、もっと変えることができるはずだ。

新しい調査によると、パンデミック中に会議は20%短くなり、人々が会議に費やす時間は11%減少したという。しかし週32時間労働をサポートするためにはさらに会議を減らし、出席者数を減らす必要がある。日本マイクロソフトでは全会議の半分近くを1時間から30分に短縮し、出席者を5人に制限した。

新型コロナによるロックダウンの間、組織はたとえ従業員の姿が見えなくても、人々が働いていることを信じることを学んだ。そして今、勤務時間が短くなっても、従業員が仕事をこなしていることを信じる必要がある。

つまり、出勤率よりも成果を重視する文化に変えていくことを意味する。そして、ボルト創業者で最高経営責任者のライアン・ブレスロウがいう「ワークシアター」、つまり忙しくないのに忙しそうに見える人を受け入れなくなれば、そこに到達できるかもしれない。27歳のブレスロウは歯に衣を着せないことで知られているが、筆者には彼の考えが脚光を浴びる時が来たと思える。業績と従業員の幸福度は密接に関係しているということを理解するにつれ、より多くのリーダーが共感するようになるだろう。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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