足で稼ぐ大学教員が読む経済

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東京都内にある東証1部上場企業に勤めるAさんは今年、「副業」の一環として新たな会社を立ち上げた。勤務先が新たな人事制度を導入したのに伴い、1週間の休日がこれまでの2日から増えたからだ。

これまでも会社の承認を得て副業を手掛けていた。だが、新制度では毎週、いつの曜日に休みを設定するかも社員の裁量に委ねられており、柔軟な働き方が可能だ。

新型コロナウイルスの感染拡大で「本業」がすべてリモートワークへ移行。通勤に費やす時間を仕事へ充てるなどの余裕ができたことも起業の決め手になった。「本業」の給与は据え置き。1週間の労働時間も従来と変わらない。休みが増えた分、1日の所定労働時間も増加したためだ。それでも、Aさんは「(チャットやオンライン会議などの機能を備えたツールの導入で、)電話対応など即時性の高い仕事が減った」と在宅勤務のメリットを強調する。

同じく都内のIT企業で働くBさんも勤務先の働き方改革の恩恵に浴した1人。週休3日制の導入時には育児や家事だけでなく、資格取得の勉強に充てる時間が増えたという。1週間の所定労働時間は減っても、従来と変わらない水準の給与を手にすることができた。

「パソコン1台あればなんでもできてしまう」(Aさん)。コロナ禍に加え、休日増が労働形態の多様化を後押しする。政府内では「選択的週休3日制」の導入を検討。希望すれば週5日の勤務を週4日に減らすことができる仕組みだ。

日本マイクロソフトは2019年夏に「週勤4日 週休3日」を柱とする実践プロジェクトを実施した。同年8月の毎週金曜日に特別有給休暇を全社員に付与。社員の効率化に対する意識改革などを狙ったもの、という位置付けだった。給与にはまったく影響のない仕組みで、「週勤4日になった分、4日間の労働時間が増えたなどの報告はなかった」(同社広報)。

実施後のアンケート調査では、社員の約92%が「週勤4日 週休3日」制度について「評価する」と回答。休日を利用し、受講中のMBAのプログラムで自動車工場の見学に参加したり、実家の豆腐屋のECサイト立ち上げに挑戦したりした社員もいた。

宅急便大手の佐川急便も2017年6月からドライバーの一部に週休3日制を導入。休日が多い分、1日の労働時間は長くなるが、給与は週休2日制勤務と変わらない。運送業界の人出不足は深刻だが、「新たな人材層の確保が可能になり、“週休3日”というフレーズで求人広告効果も高くなった」(同社広報)などと説明する。

文=松崎泰弘

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