「新しい社会」構築、そして、「インクルーシブ・キャピタリズム」への懸け橋の担い手であり、社会課題の解決に挑む非営利セクター。今回、選出にあたり重視したのは、社会的インパクトの創出、革新的な手法での挑戦、ビジョン・ミッション、持続可能な組織・運営だ。
以上を基準に、ソーシャルセクターの動向に知見がある、特定非営利活動法人・日本ファンドレイジング協会の代表理事である鵜尾雅隆、一般財団法人・社会変革推進財団の常務理事である工藤七子、藤田淑子、小柴優子、公益財団法人・日本フィランソロピック財団の代表理事である岸本和久、READYFOR代表取締役CEOの米良はるか、一般社団法人・新しい贈与論/SOLIOの桂大介、ETIC.から候補を募り、編集部からの候補を加えたリストから30団体に厳選した。
彼ら、彼女らが起こしている、さまざまな「インクルーシブ・イノベーション(全員幸せイノベーション)」を紹介する。
NPO法人 あなたのいばしょ
大空幸星 理事長
24時間365日無料・匿名のチャット相談
2020年設立。24時間対応のチャット相談を起点とした、厚生労働省の支援情報検索サイト登録窓口を運営。話したくても話せない、頼りたくても頼れないといった「望まない孤独」を抱えている人が、確実に信頼できる人にアクセスできる仕組みづくりがミッション。DVや虐待といった緊急性が高い問題には、警察や児童相談所等の関係機関と連携して対応にあたる。代表の大空は1998年生まれ、慶大在学中。今後全国にてリアルな支援の場の展開も予定。
NPO法人 WELgee(ウェルジー)
渡部清花 代表理事
難民たちと、誰もが活躍できる未来を
2018年設立。難民人材の強みを、日本企業のダイバーシティ推進・イノベーション創出に生かす人材紹介サービス「JobCopass」を運営。ソフト・ハードのスキルアップを起点に、育成・採用・定着を伴走することで、母国での紛争や迫害等から日本に逃れてきたアフリカ・中東・アジア出身の人材の強みを引き出し、生かす取り組み。多様なセクターとの協働を通じて、難民一人ひとりがキャリアや人生の目標を追求できる道筋をつくる。
WELgee(ウェルジー)が運営する人材紹介サービス「JobCopass」における現場のひとつ。「難民人材で、組織が変わる。」を掲げ、企業のダイバーシティ、グローバル化の推進を支援する。
NPO法人 ACE
岩附由香 代表
インドとアフリカ・ガーナで子どもを支援
1997年設立、市民・政府・企業に働きかけ児童労働の撤廃と予防に取り組む国際協力NGO。「世界の子どもを児童労働から守る」を掲げ、インドのコットン生産地、およびアフリカ・ガーナのカカオ生産地にて子どもの教育や貧困家庭の自立支援を行うほか、企業との協働、消費者への啓発活動、国際社会や政府への政策提言を行う。これまで児童労働から解放した子どもの数は、2カ国合わせて28村2300人超、教育支援を行なってきた子どもは1万3500人。