会員制クリニックの院長が考えるヘルスリテラシーと医療の未来

会員制クリニック「9ru」の塚田紀理院長(左)とUrban Cabin Institute パートナー山田理絵(右)


山田:美容というと、近隣では韓国がリードしているイメージがありますが、日本の美容医療の独自性はなんでしょうか。

塚田:韓国の化粧品や技術革新への探求心は日本よりも強いと思います。この1年、2年ですが、韓国の美容にかかった方々はかなりきれいになっています。



山田:その中で、日本で美容医療を受けたい方はどういう方ですか?

塚田:東南アジア、特にマレーシアとベトナムの方々の美に対する意識は高く、かつ経済成長もあって非常にアクティブで、日本で受けたいと望まれています。

山田:皆さんはどうやって最新の美容医療の情報を得ているんでしょう。ハイエンド層は口コミ中心かと思いますが。

塚田:国内外ともに、インスタグラムやツイッターなどSNSが情報源という方が多いですね。ハイエンド層はとおっしゃるように口コミです。日本の関東周辺では港区、中央区、千代田区、世田谷区、目黒区、あとは軽井沢や鎌倉あたりでみなさんそれぞれにコミュニティがあり、その集まりで情報を得ている。我々のクリニックもご紹介が多いです。

山田:そうしたコミュニティではお酒がかなり飲まれているなと思うのですが、アルコールについてはどうお考えですか。

塚田:厚生労働省がガイドラインとしている1日1合以内であれば問題ないかと思います。実は日本人は、アルコール分解酵素が低い方がほとんどです。そういう方は、食道がんのリスクが高くなったり、肝臓を悪くしたり、アルコールの飲み過ぎで身体を壊しやすいです。

今、もう一つ問題になっているのが、「NASH」という非アルコール性の肝障害です。高脂質、高糖質の食事が主な原因で、肝硬変になる方も多い。アルコールや食事をコミュニケーションのツールの一つとするためにも、自分の身体を知ることが大事です。

私たちの健康維持に影響を与えるのは、年齢と環境です。年齢と共に健康を害するリスクも高くなります。また、子どもが生まれる、親が亡くなる、引っ越しをするなど、環境が大きく変化すると食べるものも活動も変わってきます。



山田:最後に、これからの医療はどうなっていくでしょうか。

塚田:アップルウォッチなどのウェアラブルデバイス、ヘルスケア系のアプリで、ある程度自分の状態を知ることができるようになりました。また、活用薬も救急体制もとても進化していて、今まで治らなかった病気が治るようになっていきます。がんサバイバーでありながら仕事もすることが普通になってきていますし、手術をしなくて良いケースも増えています。

そんな中、次は「再生医療による移植」。3Dを使って臓器をつくる時代が目前に迫る中、私たちはiPS細胞バンキングをスタートしました。がん治療では、自分の獲得免疫を司るT細胞をiPS細胞から分化させ、活性化して入れ込むことで、がん細胞を攻撃する免疫を活性化させる臨床研究が世界では行われています。医療はどんどん変わり、その速度は早くなっています。

山田:自分のiPS細胞を保存して、必要なときに活用する。何かあった時に頼れるものが増えていくことは、先々の安心材料になりますね。

文=山田理絵

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