会員制クリニックの院長が考えるヘルスリテラシーと医療の未来

会員制クリニック「9ru」の塚田紀理院長(左)とUrban Cabin Institute パートナー山田理絵(右)


山田:そのような中、ヘルスリテラシーを上げるにはどうしたらいいのでしょう?

塚田:コンビニやドラックストア、調剤薬局でサプリメントや機能性食品などを目につくところに置いたり、相談できるシステムを確立する。実は厚生労働省で健康サポート薬局制度が始まってもう6年になりますが、あまり知られていません。

糖尿病の重症化予防や高血圧など予防医療に関しては、薬局の薬剤師がフロントとしてやらなきゃいけない。薬科大学ではそういうことを教えているのですが、企業にとって一番の収入源は処方箋なので、薬局や薬剤師の考えが変わるところまできていません。

山田:薬学の勉強をされた優秀な方たちが、本来もっとできるであろうサービスを提供できてない現状は残念です。街の薬局で薬剤師さんの知見をいただいたり、もっと意味のある相談ができたりしたらいいですね。

塚田:サプリメントは有効性の高いものが出てきていて、薬との相乗効果を出すものもあれば、逆に減衰効果を持つものもあります。そういうことを教えるのが私の使命だと思っています。皆さんに伝えることはできないけど、会員から広がることを期待しています。



山田:ハイエンド層を診ることを通してリテラシーの向上を目指されているのですね。ところで、先生は“憧れられる男性”になるための商品を開発されたと伺いました。

塚田:今、私たちは「メディカルコスメ3.0」を提唱しています。ピーリングやシミを少し消すようなセルフケアが「メディカルスコスメ2.0」でしたが、今は肌をきれいにすると同時に、肩こりや膝痛も軽減する化粧品を開発しています。

ヒアルロン酸注射やボトックスなどに頼っていたことも、化粧品で解決したいと考えています。あとはやはり「食べれる、動ける、歩ける、休める」をメディカルコスメやサプリメントで実現したい。



山田:最近は男性の化粧品も増えてきましたね。

塚田:今の20代、30代はいろんなコスメの情報を取り入れていますが、アラフィフ、アラフォーは取り残されています。そんな世代のシミ・シワに対応しています。

山田:男性の顔においても、なりたい自分像に合わせた表現ができるようになってきたということでしょうか。キリッときまると、それが精神に作用して仕事にもプラスの効果があるのでは。

塚田:まさしくそうです。口角が上がったり、シミやシワが少しでも取れると、気力も上がって前向きになる。ニューヨークのビジネスパーソンが朝から走ったりしてシェイプされているのにも通じるかと思います。

そして日本でも今、特に港区、千代田区、中央区あたりで同様の変化が起きています。若々しくいたいとか、外から見られてキりっと姿勢よくしたいというかっこいいおじ様たちが多くなってくるのはいいですね。
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文=山田理絵

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