補い巡らせ、本来持っている力を最大限引き出すサポートをする漢方薬
──漢方薬についても教えていただきたいです。漢方薬にはまずい、苦い、といった印象もありますが……。
漢方薬は草や木、鉱物などの生薬を組み合わせたもので、以前は毎日煎じていましたが、今は顆粒にしたエキス製剤が主流です。
漢方エキス製剤は白湯に溶かして飲むと本来の煎じ薬と近いものになります。漢方薬は苦いというイメージがあるかと思いますが、症状にぴったり合う漢方薬の味や香りに違和感を覚えることなくすっと飲めることが多いんです。症状が緩和して必要なくなると味覚が変わってまずく感じることも。お子さんは特に顕著で、体調が悪いときはごくごく飲んでいたのに、必要なくなると見向きもしない、というケースもありました。
医食同源ですが、漢方薬も薬ですので、漫然と飲み続けるのではなく、適時・適量に使用することで、漢方薬の効果を最大限に享受することができます。
──たとえば便秘の症状があったときに、便秘薬を飲むと依存してしまうこともあると思うんですが、漢方薬は徐々に減らしていくこともできる、ということでしょうか。
漢方薬は、本来その人が持っている免疫力など体の機能を最大限引き出すサポートをするもので、自分の体に備わっていない機能は引き出せません。バランスが崩れて発揮できていない力を補うためのものなので、改善し整ってきたら飲む必要はなくなり、自分の養生で対応できるようになります。
1日3回漢方薬を飲んでいた患者さんが、2回になり、1回になり、飲まなくてもよくなることはよくあります。また別の症状が出てきたときに必要な漢方薬を処方しています。
患者さんの中には、20代の頃に生理不順で通い始めて、30代の妊娠中や産後、50代の更年期と、女性特有の揺れに合わせて、大きく体調が崩れないように上手く漢方治療を活用している方もいらっしゃいます。
──病気ではない女性特有の不調に寄り添ってくれるのは、とても心強いです。漢方医に通いたい、漢方を処方してもらいたい、と思ったらどうすればいいんでしょう?
日本東洋医学会のHPでは、都道府県や市町村を入力して、お近くの漢方医を検索することも可能です。お近くのかかりつけ医に相談してみてもいいかもしれません。
使えるエネルギーの量には限りがある。無駄にがんばらずに「気を抜く」
──今後年齢を重ねていって、更年期を迎えるにあたっていまからできることはありますか?
私がよく患者さんに言っているのは、「気を抜く」こと。無駄にがんばらない。20代は体当たりでがむしゃらにがんばって経験を積んでいくことが大切ですが、40代くらいになるとそれまでと同じようにがんばっていると体力が持ちません。