グーグルに続きロシアがアップルにも罰金 米テック企業への取り締まり強化

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ロシア当局は今週、Alphabet(アルファベット)傘下のGoogle(グーグル)に続きApple(アップル)にも罰金を科した。ウクライナ侵攻をきっかけに、米テック大手に対する取り締まりを強化しているロシア大統領府による最新の動きだ。

ロイター通信によると、ロシア連邦独占禁止局は19日、反トラスト法違反の疑いでアップルに罰金を科す予定だと発表した。額は未定。ロシアは声明で、アップルは「iOSアプリ配信市場における支配的地位を乱用した」としている。

前日には、ロシアのメディア監督当局ロスコムナゾールが、ロシア大統領府の承認した戦争シナリオから外れたYouTube上のコンテンツを削除することを拒否したとして、グーグルに3億7400万ドル(約516億円)の罰金を科した。

AP通信によると、今回のアップルに対する罰金はウクライナへの侵攻とは直接関係ないものの、ロシア当局がデータ侵害の疑いで同社に罰金約3万5000ドル(約480万円)を科してから1週間しか経っていない。同社がロシアでそうした種の罰金を科されるのはこれが初めてで、同社に対するより幅広い取り締まりの一環のようだ。

アップルとグーグルはフォーブスのコメント要請にはすぐには応じなかった。

ロシアは3月、米国のソーシャルメディアプラットフォームがロシアの国営メディアを排除したことを受けてTwitter(ツイッター)、そしてMeta(メタ)傘下のInstagramとFacebookへのアクセスを遮断した。グーグルは3月上旬にロシアでの広告販売をすべて停止したが、検索やYouTubeなどの無料サービスの提供は続け、アップルは当時ロシアでの販売をすべて一時停止していた。

ロシア当局は2021年12月、メタとグーグルがそれぞれのプラットフォームからコンテンツを削除することを拒否したため、メタに2700万ドル(約37億円)、グーグルに9800万ドル(約135億円)の罰金を科している。

ロシア議会は3月、ウクライナ侵攻を批判したり、ウクライナでの戦争に関する特定の事実を議論したりすることさえ違法とする法律を可決し、最高で15年の禁固刑を科すことができるようにした。

ロシア大統領府は、サンフランシスコを拠点とするオンライン百科事典のWikipedia(ウィキペディア)が、ウクライナ侵攻に関するロシア語の項目を変更することを拒否し、ロシアの情報法に則っていないとして現在もウィキペディアと論争を繰り広げている。

グーグルのロシア法人は5月、当局に銀行口座を差し押さえられ、破産を申請する予定だと発表した。

米企業は実際に罰金を支払っているのだろうか。アルファベットとメタは昨年、コンテンツ違反に関連してロシア当局に数十万ドル(数千万円)の罰金を支払った。しかし、どちらも数百万ドル(数億円)の罰金を支払うかどうかについてはコメントしておらず、グーグルの破産申請は支払うつもりがない可能性が高いことを示唆している。

翻訳=溝口慈子

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