経済・社会

2022.06.28 19:00

中絶の権利消滅、米判決に対する大学の反応も「二極化」の様相


「米国では50年近くにわたり、人々は医療や将来について、十分な情報を得た上で個人的な選択をする権利を有してきました。今回の連邦最高裁の判決により、その権利が失われ、全米の生命が危険にさらされることを強く懸念しています。この判決は、数十年にわたる判例を覆し、他の基本的権利の撤廃に道を開く可能性があります。

今回の判決は、カリフォルニア大学の使命と価値観に反したものです。私たちは、個人がエビデンスに基づく医療サービスを利用し、医療チームと相談しながら自分自身のケアについて決定できるようにすることを強く支持します。今回の裁判所の決定にもかかわらず、私たちは、リプロダクティブ・ヘルスケア・サービスを含む、カリフォルニア州で可能なあらゆるヘルスケアの選択肢を提供し続け、患者、学生、スタッフ、そして私たちが奉仕するコミュニティのニーズを断固として擁護していくつもりです。また、次世代の医療従事者に対する包括的な教育・訓練を提供し、可能な限り生命を救うための研究を継続していきます」と述べた。

決定を称賛する声明


宗教系の大学からは、ドブス判決を賞賛する声が相次いだ。

例えば、リバティ大学のジェリー・プレヴォ学長は以下のように述べた。「本日、リバティ大学を代表して、米国最高裁が下したドブス対ジャクソン女性健康機構の画期的な判決に対して、全能の神に感謝の意を表したいと思います。これはアメリカにおける中絶を事実上終わらせるものではありませんが、生命を守る方向への記念すべき一歩であり、その決定をアメリカ国民の手に委ねているのです……。リバティ大学の学長として、私は今、私たちが正式に、母親と胎児の命を擁護し続けるキリストの支持者となる最初のポスト『ロー対ウェイド』世代のリーダーを養成することを誇りに思います」

オハイオ州のカトリック大学であるフランシスカン大学スチューベンビル校を代表して、学長のデイブ・ピボンカ神父はこう述べた。「私は、最高裁が、我が国の魂に傷をつけたロー対ウェイドを覆したことをうれしく思っています。ローには決して確固とした法的根拠はなく、判事たちがその誤りを正し、打ち砕く勇気を持ったことをうれしく思います。私は、この判決が、我が国における中絶の終焉を意味するものではないことをわかっています。ですから、プロライフの私たちは、困難な状況にある母親を助け、中絶によって子どもを失った人々の癒しとなり、引き続き多くの仕事をしなければならないのです」
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翻訳=上西 雄太

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