中絶の権利消滅、米判決に対する大学の反応も「二極化」の様相

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アイオワ大学のバーバラ・ウィルソン学長は、中絶に関する個人的な見解は非公開にすると書き、大学は「オープンかつ敬意を持って相違点を議論する場所」であり続けるべきだと付け加えた。

イェール大学とプリンストン大学は、判決を分析し、法的発展を監視していると述べた。

イェール大学のピーター・サロベイ学長は、「最高裁の判決とは無関係に、中絶の法的権利を維持する」リプロダクティブ・ライツに関するコネチカット州の法律に引き続き従うと学生たちに安心させる発言をした。

「49年以上にわたって支持されてきた画期的な判決を覆す今日の最高裁の判決は、私たちのコミュニティと全米の多くの人々にとって深い不安を抱かせるものです。この瞬間、個人的な見解がどうであれ、私たちは互いに思いやりをもって接し、共にこの新しい現実に立ち向かおうではありませんか。集会や抗議行動に参加される方は、どうか平和的に行ってください」とサロベイ学長は続けた。

プリンストン大学は「現在のニュージャージー州の法律を考慮すれば、ニュージャージー州にいる職員や学生に対するプリンストン大学の医療や福利厚生は、今回の判決の影響を受けないと確信しています。大学は、ニュージャージー州以外で大学の医療給付を受けている職員や学生に対する判決の影響を評価中です」と述べた



大学の指導者たちがどのような立場をとるにせよ、ポスト「ロー対ウェイド」の時代に入り、大学はさまざまな難題に直面することになる。まず第一に、多くの人々が、大学の指導者がこの問題のどちらかの側に立つことが適切なのかどうかという疑問を投げかけるだろう。

しかし、他の多くの疑問は、教育機関が困っている学生にどのように対応するかに関わるものだ。例えば、望まない妊娠に直面した学生に対して、大学はどのように対応するのだろう。特別な支援、法的助言、あるいは経済的支援を提供するのだろうか。

キャンパスの保健センターは、中絶の選択肢について学生に何を説明するのだろうか。乳幼児を抱えた母親が学校にいられるよう、保育サービスを追加するだろうか。また、大学は特に中絶を犯罪としている州において、リプロダクティブ・ヘルス・サービスに関する重要な情報を提供するのか、あるいはしないのか。

そしてもちろん、大学は中絶反対派と妊娠中絶賛成派の双方による、新たな学生の抗議、討論、騒動に備える必要がある。中絶の権利は次の中間選挙で最前線かつ中心的存在となり、党の指導者は中絶を大学生票を動員するための重要な呼び水として売り込むだろう。

翻訳=上西 雄太

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