この提案は米バイデン政権が先週提示したもので、米議会が決定を下すことになっている。ディーゼル燃料に対する連邦税は1ガロン当たり約24セント(約30円)で、レギュラーガソリンは1ガロン当たり約18セント(約25円)だ。
計画が提案通り実行されることになれば、連邦税は3カ月間免除され、ガソリンに対する連邦税は9月まで免除となる。
しかし米エネルギー情報局(EIA)のデータによると、ガソリン価格の中で連邦税が占める割合は非常に小さい。
ロシアのウクライナ侵攻とその後の禁輸措置に続く世界市場の混乱の中、米国では現在ガソリン価格が高騰している。これを踏まえれば、ガソリン価格の中で連邦税が占める割合は特に小さいと言える。
米大統領官邸の発表ではガソリン税を停止する州を増やすことも奨励されていて、ニューヨーク州とコネチカット州は既に実行済みだ。
ガソリンが1ガロン当たり約1ドル(約135円)だった1990年代後半には、連邦税が当時のガソリン価格の18%ほどを占めていたため、連邦税の減税は多少重要だっただろうということがEIAのデータから示されている。
米国の公式なガソリン平均価格は、6月13日時点で1ガロン当たり約5ドル(約700円)を突破し、連邦税の占める割合はわずか4%だ。
ガソリンに対する州税と連邦税を考慮すると、1ガロン当たりの税金はカリフォルニア州の約87セント(約120円)からアラスカ州の約34セント(約45円)の間だ。こうした州の最新のガソリン価格を考慮すれば、税金を全て免除することによる料金の下げ幅はわずか8~14%だ。
あらゆる救済策が役に立つ?
税金の割合はかなり低いものの、切羽詰まっている運転手らはおそらく、ガソリン価格の軽減措置はどれほど小さいものでもほぼ間違いなく歓迎するだろう。それでも、ガソリン税の免税期間を既に導入した国々の教訓からは、小さな対策は非常に急速に相殺される可能性が示されている。
ドイツでは6月1日、ガソリン税の大部分が一時免除とされ、導入日にはガソリン価格が16%ほど下がったものの、下がった燃料価格はその後すぐに再上昇している。ディーゼル燃料の場合は8%下がったものの、6月後半には免税期間が始まる前の価格を超えた。ドイツでは、ディーゼル燃料が通常の車にもよく使用されている。
著名な経済学者らは、新たな価格高騰は税金の軽減を織り込んだものであり、隣国フランスの数字が示すように、税金が軽減されていなければ価格はさらに上がっていたはずだと結論づけている。
それでも、石油会社が価格差を単に着服しているのではないかという疑惑は強く、ドイツの経済省は真相を探るため、独占禁止監視機関の権限拡大を計画している。