作品の中で印象的なのが、環境への視点だ。
「環境保護のため建築するときには緑を100%確保しなければならない法律がある」「(学校の周りには)畑や牧場があり、海と川と養殖場をつなぐ巨大立体水槽で食べる分だけの魚を取る」「CO2削減のため、多くの生徒は船で登校」「うんち当番が早めに登校して燃料投下するバイオマス発電所」など独創的な循環システムを作り出した。
川底の見える教室
夜の街
そんな彼の発想を支えるのは、石垣島の海と自然、それに小学4年生から続けているボーイスカウトだ。
マインクラフトの受賞作品内では、キャンプ場と野営エリアを設置。ボーイスカウトを「生きる力を身に着けるため必修科目」ととらえ、ゲーム空間でも活動ができる場を用意したという。
ボーイスカウトでは、ゴミ拾いをする時に世界のプラスチック量について触れるなど、環境を学ぶ機会があるといい、「やったことのないことに挑戦して、自分に勇気を持てること。『こんなことが自分ってできたんだ!』という、驚きと喜びがあります」と魅力を語る。
小学3年生〜5年生が少人数のグループで活動するカブスカウトに参加していた頃には、プログラムとして用意された40の履修課目に挑戦し、すべてをクリア。石垣島にボーイスカウトができてから20年以上が経つが、これは2人目の快挙だという。全国の各団でも数年に一人しかおらず、地元紙でも報道された。
本気のサポートが、子どもの心に火をつける
浦添が数々の賞を受賞した背景には、たゆまず努力する姿が垣間見える。父親は彼の成長を次のように振り返る。
「小学1年生の頃から参加したWRO Japanをはじめ、大会の成功率を高めていくためには失敗を繰り返すことが重要です。だから、家で練習するときには、その日の“失敗してよかったこと”を報告させていました。失敗を称賛する経験は、彼の力になっていると思います」
現に、ミスを犯したとしても、「次に活かせればいい」と前を向く力が浦添にはあるという。
父親は「子どもの本気に、本気で応える大切さ」についても語る。マインクラフトに熱中する子どもたちが考えた大会の攻略方法を資料にまとめたり、プレゼンの練習を聞いて言葉遣いを直したり。時には、大会へのモチベーション維持のため、チームのワッペンを作ることもある。