米山は、カネボウ化粧品「KATE」のMV「YOKU/Eve」の制作などでその名を知られるなど、2021年秋にはロンドンにあるサーチギャラリーの展覧会に、日本人アーティストとして選出された。そこで作品に評価金額1240万円が付けられるなど、グローバルでも活躍の場を広げている。
一方、PALOW.は2013年に発表した「虫メカ少女」シリーズが話題を集め、2016年には専門学校HALのTVCMのキャラクターデザインにも起用された。ほかにも、バーチャルシンガー「花譜」のキャラクターデザインを手掛けるなど、独自の世界観が高い評価を得ている。
2人が所属するクリエイティブスタジオSSS by applibot(トリプルエス バイ アプリボット)は、6月11日から東京・青山で展覧会「Re\arise #1 EXTHIBITION TOKYO」をスタートした。
コミックアートの第一人者である2人に、新しいアートのいちジャンルとして、世界でも評価されるようになったコミックアートの可能性や課題点を聞いた。
──アートの道を志したきっかけを教えてください。
PALOW.:僕は父親が画家で、自宅にアトリエを持っていたこともあり、周りにアートやマンガが多い環境で育ちました。
それと、家が貧乏だったので、ゲームなどお金がかかる遊びができず、自然と絵を描くようになりました。絵を描いていると両親からも褒められたんです。それで、疑うこともなく絵の道に進んだという感じです。
米山:私も典型的な「お絵かき好き」でしたね。長野県の田舎出身なので、周りに遊ぶものがなくて、一人で留守番をしているときなどは、カレンダーの裏の白紙にずっと絵を描いているような子どもでした。
進学を考えたとき、建築家の父と同じように建築の道に進むか迷ったのですが、その当時アニメーションに携わりたい気持ちが強く、アニメ専門学校に進学しました。
──現在の作風はどのようにして生まれたのでしょうか。
PALOW.:僕も米山さんと同じように、絵を描いてすくすくと育ってきたのですが、金銭的な問題があって美大進学は断念しました。19歳の時に大御所イラストレーターさんに弟子入りしたこともありましたが、厳しくてついてけず1年で断念。「僕は絵を描くのには向いてないんだ」と挫折しました。
それから、絵以外のことにチャレンジしようと、音楽をつくったり対戦ゲームに没頭したりしたのですが、絵を描くときより努力しているのに、絵よりも成果が出ませんでした。