経済・社会

2022.06.11 13:00

世界中の都市を循環型モデルに変える「リビングラボ」の魅力


地域イノベーションの例として挙げられるのが、人を刺さずに伝染病の媒体にもならず、ペットフードや家畜飼料などになるブラックソルジャーフライの飼育を通じた生ごみの栄養分の回収や、木材認証システム「TreeID」を使った木材のアップサイクルと管理体制の確立、回収したバイオ廃棄物から衣類・家具・生分解性容器包装などをつくることなどである。


Image via Envision Charlotte

リビングラボは、さまざまなことを検証できる遊び場のような役割を果たすが、戦略的選択が重要だ。起業家精神を効果的に育成するためには、リビングラボの目的を明確にする必要がある。

Metabolic社の共同創設者でベンチャーディレクターのChris Monaghan氏は、「私はリビングラボをさまざまな視点から見てきましたが、その核心は、何を研究しているのか、何のためのラボなのかを明確にすることです」と話す。「ラボで何をしようとしているのか、どのような相互作用があるのか、何を検証しようとしているのかを選択するのです」

イノベーション・バーンの場合、起業家精神の構築の第一歩として、プラスチック廃棄物に関する新しい価値提案の検証に重点を置いている。

現時点ではパイロットプログラムの段階だが、「Plastics Lab(プラスチックラボ)」を運営して、リサイクル不可能なテイクアウト用食品容器をシャーロット市の住民から回収し、3Dプリンターで使用できるフィラメントに変換することで、新型コロナウイルスのパンデミックによる使い捨てプラスチックの増加に対処している。

コロナ禍の需要の高まりを受けて、このフィラメントは現在、医療用フェイスシールドの上部に使用されている。パンデミック後、プラスチックラボで現地のイノベーターが新たなプロトタイプや製品をつくることで、プラスチック廃棄物の埋立地行きを回避できる。


Image via Envision Charlotte
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原文著者=Anges Weber 文=廣瀬優香

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