──二次流通、安心安全なNFT取引を実現させるために、ブロックチェーンの中でもパブリックチェーンではなく、楽天が管理するプライベートブロックチェーンを使用したということでしょうか。
プライベートチェーンとパブリックチェーンで一番大きな違いは、プラットフォーマーが強力な管理権限を持っているかどうかです。
パブリックチェーンで昨今大きな問題となっているのが、剽窃(ひょうせつ)作品や真贋問題、そして盗難のリスクです。
楽天はプライベート型のブロックチェーンを採用することで、厳正にコンテンツの精査をして、他社のIPを侵害しない形でディストリビューションすることができます。盗難や何か不正があった際にも、すぐに特定することが比較的容易です。
また環境配慮の側面としても、プライベートブロックチェーンは膨大な電力を消費するマイニングを必要としないため、トランザクションにおける消費電力を抑えられます。
──現在、「Rakuten NFT」の二次流通マーケットはどのくらい盛り上がっていますか? 高額転売の例を教えてください。
例えば7800円で販売した「ULTRAMAN」のNFTが、二次流通マーケットで100万円で取引されました。
アニメ『ULTRAMAN シーズン2』の配信が始まり、さまざまなプロモーションが行われた中で、コアファンから高い評価を得たのだと思います。
我々はそもそもの思想として、一次販売で無理に在庫を売り切ろうともしていませんし、二次流通マーケットにおいても射幸心を煽るようなプロモーションはしていないので、ご祝儀相場ということも多少あったのではないでしょうか。
──では、「プレイヤーズ・アンセム」での人気コンテンツは?
やはりイニエスタ選手のNFTが非常に人気が高いです。
また、NFTにはシリアルナンバーがついていて、その選手の背番号や入団した年といった馴染みのある数字だと値段が上がる傾向があります。今後そういった視点の売買も増えていくと思います。
──イニエスタ選手のNFTの二次流通マーケットの履歴を見ると、5000円から6000円くらいの間で売買されていますね。もとの値段は1650円なので、3〜4倍の価格帯です。
いいプライスレンジで取引されていると思います。転売、転売になることも予想していましたが、想定以上にサッカーファンに買って頂けているという感触を得ています。
我々は「NFT市場の民主化」をビジョンに掲げていますので、プラットフォーマーとしてニュートラルなスタンスを保ち、自由に取引して頂いていますが、目指しているのはファンがユニフォームやタオルマフラーを買うのと同じような感覚でNFTを所有する喜びです。なので、そこまで高騰していないことにはむしろ安堵しています。