──プレー映像にアート要素を取り入れることや二次流通マーケットの他に、どんな独自性があるでしょうか?
楽天は1億以上の会員基盤を持つ「楽天経済圏」で、楽天チケット、楽天コレクション、Rakuten TV、Rakuten Musicなど70以上のデジタルサービスを展開していますので、それらを生かした連携企画を検討しています。
所有する野球の球団やサッカークラブとの、O2O(オンライン・ツー・オフライン)のプロモーションも計画しています。
例えばヴィッセル神戸のスタジアムや東北楽天ゴールデンイーグルスの球場へ観戦に行った人だけが特典NFTをもらえ、それらを集めると特別なイベントに招待されるといった感じです。こういった取り組みが、競合他社との差別化になっていくと思います。
──事業やジャンルを横断したサービス展開を実現するのは簡単ではないですよね。先ほどのアーティストとのコラボNFTもそうですが、どのようにリソースを集約して、リリースまで漕ぎ着けていますか?
「楽天経済圏」の既存のビジネスで培ってきたIPホルダーやパートナーとのネットワークを、社内の各分野の専門知識を有する多様なメンバーで共有、活用しながら進めていくわけですが、決め手になっているのはやはり、楽天として良いサービスを作り上げたいという志、企業カルチャーでしょうか。
「プレイヤーズ・アンセム」ではボールを蹴って育ったサッカー小僧が中心となって、NFTもファンのためにあるべき、そしてJリーグをどう皆さんの生活に馴染ませるかという考えのもと、それぞれの分野で同じような想いで取り組んでいるメンバーの熱意を繋ぎ合わせて、愛情たっぷりのサービス設計をしています。
(上段左)楽天チケット代表取締社長兼楽天グループ株式会社NFT事業部ゼネラルマネージャー 梅本悦郎氏/(上段右)楽天グループ株式会社メディア&コンテンツ事業IPマネジメント事業部シニアマネージャー 菊池辰也氏/(下段左)メディア&コンテンツ事業IPマネジメント事業部 砂子達也氏
──NFTといえば、メタバースとのつながりも期待されていますね。最後にもう少し、今後の展開について聞かせてください。
メタバースは当然、我々のサービスでもプランに入っています。現時点で具体的なお話はできないんですが、一つはエンターテイメント系、もう一つはメタバース空間の中で物を売るお手伝いをするエンタープライズ系です。
「Rakuten NFT」では2023年以降、個人によるNFTコンテンツの発行、販売ができるサービスの提供を推進していく予定です。
今後、出店する際の注意事項や審査など、重要となるプロセスの検討を進め、著作権等についても、慎重に対処していかなければならないと考えています。外部の専門家などの意見も聞きながら、法令に則って適切なサービス展開の準備をしてまいります。
NFTの基盤にあるブロックチェーン技術はまだ発展途上であり、ファンやIPホルダーにとって導入難易度も高いです。
我々は、気軽に利用できるプラットフォームとして提供することで、NFT流通革命による体験や価値を皆様に感じて頂けるようにしたいと考えています。