従業員エンゲージメントを育み、維持する5つの方法

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米国では2021年、仕事に意欲をもって自発的に取り組んでいる労働者の割合が、10年強を経て初めて低下したことが、調査会社ギャラップの最新調査で明らかになった。また、仕事で困難を抱えている従業員は、順調な従業員に比べて、転職する確率が2倍であることもわかった。これは驚く結果ではない。社会はいまも「大離職時代」のさなかにあり、企業は有能な人材を採用して維持するのに苦労しているからだ。

いまこそ、従業員のエンゲージメントとウェルビーイング(心身の健康と幸福)を最優先すべき時であるのは間違いない。そこで、モチベーション向上を目指すマネージャーや、やる気が続かず困っている従業員のために、従業員エンゲージメントの向上と維持に役立つ方法を5つ紹介しよう。

まずは基本を押さえる


残念ながら、企業は基本を見失っている。従業員は、大きな使命の達成に自分がひと役買っていることを実感したいと思っている。企業が自社の価値観を日常業務のなかに反映させている場合、より意義深い職場文化を育成しやすいのはそのためだ。

しかし、経営理念や価値観を単に会社のウェブサイトで公言すればいいというものではない。企業が従業員に支持され、従業員エンゲージメントを向上させるためには、掲げている長期的なビジョンと価値観を、日常業務のなかに取り入れて一体化させる必要がある。会社の柱である価値観を十分に理解し、会社にインパクトを与えるためにやるべきことがわかっていれば、従業員には自ずと使命感ややる気がわいてくるものだ。

メンタルヘルスを最優先する


離職の理由として、メンタルヘルスの懸念を挙げる労働者は多い。セラピーアプリ「トークスペース(Talkspace)」が実施した調査では、離職予定の従業員の3人に2人が、「勤務先は従業員のメンタルヘルスをより重視するという約束を果たしていない」と回答している。

こうした状況を改善するために、従業員に対しては、定期的にデスクを離れて休憩を取るよう声をかけよう。つながりを実感することも、心身の健康増進には重要だ。つながりは、定期的に面談をしたり、チームとして活動に取り組んだりすることでも育まれる。話しづらい問題を巡る対話や協力的な職場づくりを、先頭に立って行うリーダーの育成も欠かせない。

さらには、柔軟で健全な「境界線」を設けるための取り組みも忘れてはならない。たとえば、終業時間後のメール送信を禁止したり、週4日勤務制を導入したりするといったことだ。そうした取り組みを含めた企業方針を打ち出すと、従業員エンゲージメントの向上が見込めるかもしれない。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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