睡眠不足の深刻な代償 認知症や肥満、死亡のリスクも

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認知症や死が夜にしっかり眠る動機とならなければ、肥満はどうだろう? 米メイヨークリニックの科学者らは先月、睡眠制限が腹部・内臓型肥満と関連していることを議論する新たな調査を発表した。

同調査では、睡眠制限を4時間の睡眠とし、対照群は9時間の睡眠とした。研究には次のように説明されている。

「睡眠制限は対照群と比べた場合、参加者がより多くのカロリーを消費し、タンパク質と脂質の摂取量が増えた」

「エネルギー消費は変化せず参加者は実験で睡眠制限を課された場合、対照群の睡眠時間の場合よりも顕著に体重が増えた」

「体内総脂肪量は2つの条件の間で変化がなかったが、腹部脂肪は睡眠制限の間のみ増加し、皮下脂肪と腹部内臓脂肪の貯蔵量が顕著に増加した」

ただ、ここでの調査結果はほぼ直感で理解できることだ。睡眠は心の健康を回復させるだけでなく、ホルモンのバランスや代謝調節、体の「リセット」機能で欠かせない役割を担っている。こうした個々の部分が合わさり、脂肪の蓄積や臓器の健康、全体的な寿命を含む健康の全体像を構成している。

研究からはこれまで数十年にわたり、睡眠が非常に重要な価値を持つことが示されてきた。それにもかかわらず、現代社会はその重要性を軽視し続けている。世界経済フォーラムが掲載した記事は、この問題をさらに深く調査している。

「世界の成人のおよそ62%は、寝てもきちんと眠れないと感じている。睡眠時間は世界中で大きく異なるが、成人の大半はいまだに十分な睡眠時間を取っていない。平均的な人は平日の夜、6.8時間の睡眠を取っている。これは推奨されている8時間の睡眠より著しく低い」

社会は既に長寿と幸せの秘密を読み解いたようで、それは健康な睡眠の尊重だ。睡眠という生活の重要な部分を今より優先できるかどうかは、現代のやるべきことや生活様式とどのように折り合いをつけるかにかかっている。

翻訳・編集=出田静

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