「子育て世界地図」。教育に最適な都市、東京の評価は?

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マーサー社「世界生活環境調査─都市ランキング」の上位都市について以下、フォーブス・ロシアが論評した(イラスト:ダリア・リチコワ(Daria Rychkova))。

1. ウィーン(オーストリア)




2014年以来、ウィーンは住みやすい都市のランキングで一度も世界一の座を譲っていない。かつてはハプスブルク帝国の都であり、保守的な都市だったが、今ではヨーロッパ中の家族が集まるようになった。市は2010年代から幼稚園偏重主義を改め、働く親のベビーシッター費に予算の一部を割り当てている。

ウィーン在住で、建築事務所「ヴィーヒxヴィーヒ」(VeechxVeech)を創業した建築家で、3人の子供の母親でもあるマシャ・ヴィーチュ=コスマチェフ(Masha Vietsch-Kosmachev)は、子供が課外教育を受けたり余暇を過ごしたりできる施設がウィーンに登場し始めたのは2000年代初頭だったと語る。

「旧街地には子供が遊べるような中庭も、親同士で交流・活動できるような場所もありませんが、市外に出ると、車で15分のところにプラーター公園が、30分のところにはウィーンの森があります。そして、街の中心部には美しいドナウ島もあるのです」。

市内には、公立だけでなく私立の全日制インターナショナルスクールもある。アメリカン・インターナショナル・スクール、ウィーン・インターナショナル・スクール、最古の私立進学高校であるテレジアヌム・アカデミエなどだ。オルタナティブ高校(※訳注 教育法に則らず、独自の教育方針を掲げる高校)のワルツ・ウィナー・レルンツェントラム(W@lz Wiener LernZentrum)では、必修科目以外に社会活動や創作活動、ハイキング、遠足も経験できる。21世紀の開かれたヨーロッパで生きていくために、南アフリカとの交換留学も行われている。

2. ベルリン(ドイツ)




住みやすさと手頃な家賃が相まって、ベルリンは若手の専門職から人気の地域である。

「フィナンシャル・タイムズ」紙によると、この都市で新規雇用される人のうち40%以上は外国人だという。一方、人口の増加によって社会インフラが圧迫され、幼稚園に入りづらくなってきた。ベルリンではあらゆる子供が無償で教育を受けられるが、幼稚園は親が自分で探さなければならない。

「80枚以上の願書に息子の写真と説明を付けて送りました。ある園からは、私たちの前に待っている人が800人いると言われたんです。入園できる確率を上げるために、息子は多動児だと書きました。特別な活動や注意が必要な子供は統合教育の対象となります。すると、その子供を受け入れた幼稚園や学校は、国から通常の700ユーロに加えて1000ユーロの補助金が得られるのです」と語るのは、ベルリン在住でシンクタンクの奨学金を受けているオクサナ・シェベルコワ(Oksana Shevelkova)だ。

ベルリンで特筆すべきは、遊具付きの公園(約1850カ所)も緑地公園も非常に多いことだ。そのため、幼少期から自然への責任ある態度が育まれる。遊具は自然素材で作られているので安全だ。子供が落下した場合も、厚く重なった砂利や砂が守ってくれる。公園のおかげで、子供たちは走ったり飛んだり斜面を登ったりといった運動にも取り組みやすい。親からも、自分の力で公園内を探検するように促される。幼いうちから自転車に乗れる子供も多い。
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翻訳=加藤今日子 編集=石井節子

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