4. 東京(日本)「ふじようちえん」
「エコノミスト」紙の調査部門は、東京は世界一安全な街として挙げている。とはいえ、東京で子供がのんびり歩く姿を目にすることはない。昼間は学校、夜は塾と忙しいのだ。
「東京は公園がとても多いです。うちの学校の近くだけでも、遊具のある広い公園が3つと大きくて芝生もある公園が1つあります。どこも清潔で安全で、子供が裸足で歩き回ることもできます。小規模な私立幼稚園には歩ける場所がないところが多いので、公園で幼稚園児のグループが散歩する姿をよく見かけます」と語るのは、東京でロシア文化教育センター「ミール(Mir)」を設立したナタリア・ベレゾフスカヤだ。
日本は2019年に消費税を10%に上げて、3~5歳の子供への教育を無償化した。しかし、都では公営幼稚園の待機人数が膨大なため、共働きの家庭は妥協を強いられている。3歳未満の子供の多くは、母親と過ごすか24時間対応の保育園(1時間あたり約6ドル)に入るのだ。
「週末になると、父親がベビーカーを押す姿を見ることも珍しくありません。東京の人は、土曜日には家族でランチに出かけてから、郊外で散歩します。特に人気の観光地は、東京ディズニーランド、動物園、池袋の複合施設サンシャインシティ(海洋水族館、多くのテーマ型店舗、子供向け娯楽施設が入っている)などです。
東京からほど近い横浜にも、さまざまな公園や観光地があります」。2007年、東京の郊外に「ふじようちえん」の新園舎が竣工した。環状の建物を設計したのは、日本の著名な建築家である手塚貴晴だ。1周200メートルの屋根の上は走れるようになっていて、屋根には階段からも木を上る形でもたどり着ける。
建物の面積は約1400平方メートルで、19クラス(620人)の子供を受け入れ可能だ。敷地の中央には、遊具を備えた公園がある。また、この園ではモンテッソーリ教育が採用されている。東京が日本人を引き付けるのは、その多文化性だ。国際的で創造性の高い優良校があり、日本国内で最も外国人が集まる地域でもある。
ただし、グローバリゼーションの流れも、海外の専門家の積極的な参与も、過去1000年間で培われた日本人の人生観に影響を及ぼすまでは至っていない。西洋ではオープンな授乳が流行しているものの、その波はまだ東京には届いていないとナタリアは話す。「また、日本では街中で食べ歩く人や泣き叫ぶ赤ちゃんもほとんど見かけません」