大学3年生の時にシリコンバレーに渡り、ブロックチェーン企業で働き始めました。そこ最も衝撃を受けたのが、一人ひとりが“世界規模”の課題解決に挑んでいる姿です。「アメリカを良くしたい」ではなく「世界を良くしたい」という話し方をするんです。
そんな環境に身を置くなかで、いつの間にか「起業」が自然な選択肢として自分のなかにありましたね。帰国後に東大の大学院で研究員をしていて、そこで出会った仲間と2019年に起業しました。
──渡辺さんも、起業当時からグローバルを見据えていたんですね。
はい。DAY1からグローバルで挑戦をすることを意識してきました。
学生時代から海外で活動していたので、その影響で世界を見据えていたというのはもちろんですが、パブリックブロックチェーンの世界観を大切にしたかったという理由もあります。
パブリックブロックチェーンは24時間誰でもアクセスできて、国境がない。銀行口座がなくてもインターネットにアクセスできれば暗号資産に触れることができる。つまり公平で貧富の格差にもアプローチできるんです。
いま本社をシンガポールに置いていますが、従業員はアメリカ、ドイツ、フランスなど様々な拠点に25人以上います。そもそもチームがグローバルなんです。僕自身もドバイ、アメリカ、シンガポールと世界各国を飛び回る生活をしています。
ただ、起業してからは順風満帆だった、というわけではありませんでした。キャッシュアウトの危機もありましたし、方向性の違いから抜けていったメンバーもいました。
次世代の中核技術であるブロックチェーンですが、日本は税制が厳しいので海外に比べて数周の遅れが生まれています。一方で、「ASTR」を上場させて時価総額1000億円規模になったタイミングで、日本でも暗号資産についての税制改正を議論されるなど、いい方向に向かっている部分もあります。
ただブロックチェーン業界の1~2年は、その他の業界の「10年分」に相当するとも言われます。税制改革が早期に進むよう、日本発のパブリックブロックチェーン企業として目に見える結果を出して、存在感を示していきたいと思っています。前に進んでいくことが、日本のブロックチェーン業界や社会にとって重要なことですよね。