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2022.03.12 12:00

内戦終結から5年 「食の力」でコロンビアを変える女性たち


元々アーティストになりたかったエスピノサシェフは、食を通して社会問題を解決したいと、2005年からコロンビア各地を回り、各地に眠る伝統的な食文化を調べ、2007年、自らのニックネームを冠した店「レオ」をオープンした。

使う食材は100%がコロンビア産で、アンデス山脈でとれる「キュビオ」などの多様な根菜、アマゾン原産で、時に200キロを超える巨大な魚「ピラルク」、椰子の木につく芋虫「モホホイ」など、日本では馴染みのない食材も多い。


ピラルクの舌を使った料理

「87の民族と65の言語と、多様な文化を持つコロンビア。小規模な生産者とレストランとをつなぐと同時に、伝統的で、健康に良い食文化を守り続けていきたい」とエスピノサシェフ。

そんな思いから、2008年にはNPO法人「ファンレオ」を立ち上げ、レオのソムリエでもある娘のラウラと共に、伝統的な食文化の保存や、地方の子どもたちの栄養改善、生産者の収入を上げるためのレストランとのマッチング、持続可能な農業のためのワークショップを行うなどして、食を通した社会問題の解決に取り組んでいる。

筆者も、ボゴタ郊外にある農場を訪れた際に、伝統的な食文化の逸失に関する懸念を耳にした。例えばじゃがいも一つとっても、収量が多く育てやすい改良品種ばかりが育てられるようになり、昔から作られてきた伝統品種が失われてきてしまっているのだという。

これは、地元の食文化にも、大きな影響を与えている。ボゴタの伝統的な郷土料理「アヒアコ」には、3種類の異なった伝統品種のじゃがいもを使わなければ、本物のアヒアコと言えないのだという。



レオは、食材以外にも、コロンビアの魅力を一つの場所に集約したような存在だ。コロンビア人のアーティストによる内装や、シェフ自らがデザインした器、娘ラウラが地元の食材から蒸留したアルコール飲料「テリトリオ」なども含めた総合的な「美食体験」ができる。

コロナ禍に移転・改装を行い、去年6月に再オープンを果たした際には、店の1階をこれまで同様、13品のお任せコースで美食を楽しむ「レオの部屋」にする一方、2階を「ラウラの部屋」として、アラカルトでオーダーできる料理とカクテルを楽しむ空間にわけ、地元の人がより気軽に立ち寄れる店に変えた。

「この新しい取り組みが、コロンビアの豊かな食文化により多くの地元の人たちが気付くきっかけになれば」と母娘は考えている。
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写真・文=仲山今日子

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