旅が生活の一部。ハイエンドトラベラーは「旅」に何を求めるのか?

マゼランリゾーツの代表 朽木浩志(左)、Urban Cabin Institute パートナー山田理絵

アートや食、ファッション、ウェルネス、イノベーションなど、分野を横断してアンテナを張り、豊かなライフスタイルを実現している“ハイエンド”な人々がいる。単なる富裕層でなく、付加価値を求める彼らに選ばれるようサービスやプロダクトを生み出すことは、日本に必要とされる産業政策の一つと言えるだろう。

ハイエンド・ブランディング・プロデューサーの山田理絵が鎌倉にある「BLACK CUBE」にトッププレイヤーを迎え、付加価値の生み出し方を聞き出す対談連載。

第三回は、アマンリゾートを初めて日本に紹介した人物であり、国内外の“ハイエンドトラベラー”に特別な旅を提供しているマゼランリゾーツの朽木浩志代表に、ハイエンド層にとっての「旅」について聞いた(このトークの対談全編はこちら)。


山田:御社がこれまで受け入れてきたハイエンドトラベラーとは、どのような人々でしょうか?

朽木:コロナ前のゲストは、インバウンドが75%、アウトバウンドが25%。国籍はアメリカ、カナダ、中南米、ヨーロッパ全域。時々オセアニア。中東やアジアからのお客様は弊社にはあまりいらっしゃいません。

どちらかというと年配客が多く、50代以上の方だったり、40代カップルが小さなお子様を連れてくることもあります。20代はあまりいらっしゃいませんね。

山田:ハイエンドな人々にとって、旅はどのような位置付けですか?

朽木:特に欧米のお客様は、旅が生活の一部。人生に旅が組み込まれています。食べる、寝る、と同じくらい、旅が生きる要素の一つ。生きている間にできるだけいろいろなものを見ておきたい、未知なるものに対する好奇心が強いんだと思います。



山田:彼らを惹きつける未知なるものとはどういうものですか?

朽木:やっぱり見たことがない、触れたことがないもの。好奇心や冒険心、非日常感をそそるものではないでしょうか。対して日本の方は、安心・安全が優先事項で、旅にはあまり刺激を求めないのかもかもしれません。そこが欧米と日本の旅に対する大きな違いかと。

山田:ハイエンドトラベラーの関心が特に強い分野は?

朽木:アート、食はもちろん、建築やコミックカルチャーなど、皆さんそれぞれに細かい趣向があります。受け入れ側としては、その趣向にどこまでお答えできるかがカギとなります。

山田:「富裕層ってどういう人たちなのか教えて欲しい」と言われることがあります。私の身近にもいますが、カテゴライズしたり、定義づけるのは難しいと感じます。それについてはいかがでしょう?
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文=山田理絵

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