1. 英語を習得する
理由は二つある。一つは、英語によってコミュニケーションを取れる人が増え、海外との距離が近くなることだ。グローバルででキャリアを積むには欠かせないスキルだが、それ以前に、2つの言語でものを見られることで「視野が広がる」というメリットもある。
もう一つは、英語では「敬語」という概念が非常に薄いという点だ。これは僕の持論ではなく、グラッドウェル氏も前述の書籍で語っている。
英語にも「フォーマル」と「カジュアル」という話し方の違いはあるが、目上の人に対して言葉遣いを大きく変えるという習慣はない。そうすると言葉に左右されるヒエラルキーの意識が薄まり、部下から上司へ意見するなど、目上の人ともコミュニケーションしやすい文化ができる。英語の習得は、社員に自立性を持たせる手段の一つでもある。
2. ディベートを学ぶ
僕がスイスの高校に留学した時に、初めて「協議ディベート」という言葉を知った。ただ議論するだけではなく、特定の論題に対してあえて異なる立場に分かれて説得力を競い合う活動だ。
ディベートは話し方を学ぶだけではなく、考えを整理し、理論的に説明をする力を身につけるのにも役に立つ。特に日本においては、同調により秩序が保たれる一方、人と合わせなければいけないというプレッシャーも強い。その中で、自立した考えを持ち、それを伝えるためにも、この力は身につけておきたい。
20代のレイ・イナモト(左)。もう1人は双子の兄弟(筆者提供)
3. 個人プロジェクトを持つ
僕は人材を採用する際、「個人プロジェクトを持っているか」を履歴書でチェックしたり、面接で聞いたりする。個人プロジェクトとは、仕事とは別に、自己研鑽のために自分でテーマを見つけて作ったり、学んだりすることを指す。
作るには、意欲が必要だ。一つひとつの問題を時間をかけて学ぶことも、解決していくことも同様だ。それは必ず自分の力になり、成長にもつながる。
4. 部下を呼び捨てにしない
僕が東京にオフィスを立ち上げた3年前に、設立メンバーの2人と相談して決めたことの一つである。まずアメリカで始めた会社なので、海外のメンバーとも自然にやり取りできるよう、ファーストネームで呼び合おうとした。そして「君」や「ちゃん」ではなく、「さん」付けで。男尊女卑社会の日本の風潮を少しでも打破するためにも、だ。
とても細かいことなのだが、これは会社の文化を作る一つの習慣として役に立っていると思う。日本企業によくある年功序列や階級社会を崩し、誰でもが意見やフィードバックを言える環境を作る。社員にいい仕事をしてもらいたかったら、自立した意見を持ち、それを伝えられる文化を作る。これはマネジメントの役割である。
今後も変化し続ける未来をどう生き抜くか? 第一のステップは「自立」。次回は、第二のステップである「若いうちに培う『技巧』」について考えてみたい。