偉人たちの共通点から知る、「成功するか」よりも大事なこと

スティーブ・ジョブズ(Getty Images)


20世紀の後半、ニューヨークで成功した弁護士には、以下の三つの共通点があったという。

1. 19世紀に東欧から移民したユダヤ人家系
2. 1930年前後生まれ
3. 両親が衣料製造業

19世紀は大量の移民がヨーロッパからアメリカへ移るのだが、その一部に東ヨーロッパで衣料業に携わっていたユダヤ人がいた。最初は言葉の通じない異国で、いろいろな職業を試すが上手くいかない。それならば自分たちの技術と経験を活かし、一般庶民が手に入れられる衣服をつくろうと、街中で人を観察し、どんな服を着ているか、どんな服がどこの店で売られているかを、自分達の目で調べたそうだ。至ってアナログなデータ調査だ。何が必要とされているのかを考えたのである。

それは1890年頃から始まるのだが、ユダヤ人の衣料製造業の家系の人達は20年ほどでかなり裕福になる。その後1930年ごろに生まれたユダヤ人が名門大学に進み、多くの人達が医者や弁護士になったという。

ここで大事なのは名門大学に進学したことではない。ポイントは「衣料製造業を担っていた親たち」が子どもに与えた影響だ。

衣料製造業は簡単な仕事ではない。利益率はそれほど良くはないし、労働時間も長い。だが農業とは違い、その当時のニューヨークだと、衣料製造業は自分で作ったものを人が身につけているのが可視化される。つまり、自分の仕事の功績が分かりやすい。自分の仕事が世の中に必要とされているのがよく分かるのだ。

グラッドウェル氏はこれを「意味のある仕事(Meaningful Work)」と定義する。それは「自律性、複雑性、努力と報酬の結びつきがある仕事」である。 


マルコム・グラッドウェル(Getty Images)

意味のある仕事を見て育った子どもたちは、難しいことにチャレンジすること、自分で仕事をコントロールすること、そして、努力することの大切さを間接的に理解する。それが後のキャリアに役に立つのは言うまでもないだろう。

もちろん、決して「生まれた環境で成功するか否かが決まる」という話をしたいわけではない。歴史上の事例から導き出された考察から学ぶとともに、我々世代が(自分の子どもでなくとも)若い世代に与える影響を意識することが、ひいては日本の未来を変えるかもしれないことを意識してほしい。

自立的思考を身につける4つコツ


自立的思考は性質であり、性質は、習慣から作られる。では日常的に何ができるか。以下に具体的な4つの行動と、その理由を説明したい。
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文=レイ・イナモト

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