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2022.03.04 14:30

八王子を国際モデル都市へ 北原国際病院グループの挑戦


北原国際病院グループが実現しようとするのは、本拠地八王子で一貫した医療を提供する傍ら、「ワンヘルス」と「スモール・イズ・ビューティフル」の2つの理想を体現する社会だ。

「八王子は自然豊かな土地である一方、企業の研究所や工場なども多く、ある意味自給自足可能な独立国のような土地柄です。私たちはこの街を、皆がそれぞれの居場所を見つけられ、幸せで豊かな生活を送れる都市型のブルーゾーンに進化させようと考えており、その事業を「八王子モデル」と呼んでいます。八王子モデルを生み出すことができれば、やがては日本を変える原動力になるかもしれません。その第一歩として、トータルライフサポートとヒーリングファシリティー、この2つの開発に取り組んでいます」



「トータルライフサポート」とは、医療や介護はもとより災害時の避難、家屋や住宅の修理、買い物代行やペットの世話、複雑な行政手続きから看取り、死後の手続きまで、生きるために必要なすべてのサービスを提供する会員制の便利屋サービスで、北原トータルライフサポート倶楽部として既にサービスを開始している。

万一の際に駆け付けサービスを提供できるよう、八王子とその周辺のおおよそ百万人を対象としており、デジタルリビングウィルで自分に関する様々な情報を登録し、かつ信託銀行に決済口座を設定すれば、契約に応じて必要なサービスをキャッシュレスで受けることも可能だ。

「デジタルリビングウィルは、サーバーの中に3重の生体認証によって守られた自分のサイトを立ち上げ、基本医療情報、生活情報、そして万一の際どうして欲しいかの意志などを随時登録できるシステムです。データは会員本人しか読み書きできませんが、会員数が増えていけば、AIが統計的に疾病、あるいは生活事故を予測して人手を介さず直接本人に警告を出せますし、契約によっては遺言としての利用も可能です」

データを一括管理し、会員に必要な時に必要なサービスを提案するサポートセンターと会員をつなぐユーザーインターフェースとしては、高齢者の利用も考えて自宅のテレビに取りつけるだけで双方向通信が可能になる装置を開発中だという。これには顔認証や決済機能も組み込まれていて、本人であればリモコンのチャンネルボタンを押すだけでセンターにつながりワンストップであらゆるサービスを受けられるほか、センター側からもアクセスして会員の安否を確認したり災害危険情報を送ることができるようになる。

「トータルライフサポートは地域の様々な情報や資源を集め、会員の求めに応じて適切なものを取捨選択して提供するプラットフォームサービスです。グローバルなプラットフォームに比べればカバーできる地域は限られますが、サポートスタッフの介在により密度と自由度の高いサービスをワンストップで提供できるし、サポートスタッフがコンシュルジュ的な働きもすることによって、会員が猥雑な社会の中で孤立するのを防ぎ、世の中へのアクセスを容易にすることができる点も大きな魅力です」

ヒーリングファシリティーは、そこに身を置くだけでストレスから解放され、免疫力が高まって健康を取り戻せるよう設計された空間で、温室や温泉、牧場や農場、ホテルなどを備える。その中心には本格的な医療を必要とする人のために、AIによる自動運転を目指すデジタルホスピタルを開発中だ。

「日頃はトータルライフサポートに見守られ、時にはヒーリングファシリティーで遊んで免疫力を高め、本格的な治療を必要とするときは修理工場としてのデジタルホスピタルでリーズナブルなケアを受ける。一度「八王子モデル」が完成すれば、その応用で現在の社会問題の多くを解決することができる、と我々は考えています」
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取材・文=中村麻美

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