診察後、精算窓口を素通り 医療向けキャッシュレスに新風

Getty Images

病院にいるのはたいていの場合、「元気いっぱい」とはほど遠い状態の時。それなのに、診察後会計で長時間待たされるのはおそらく、誰にとっても悪夢だ。コロナ禍でキャッシュレス化がどこの分野でも進む中、医療機関にはなかなか風が吹かないと感じているむきも、少なくないのではないだろうか。

そんななか三井住友カードが、医療機関・クリニック向けのキャッシュレス決済の推進に向けた新サービス「stera pack for クリニック」を開始して注目されている。

実は同社はすでに2021年4月から、飲食店、小売店、理美容、薬局など多業種向けに「オールインワン端末(stera terminal)」「導入しやすい決済手数料」「店舗業務 効率化アプリ『おみせポケット』」をワンパッケージで提供するサブスクリプションサービス「stera pack」を開始していた。

医療機関向け決済手数料も低率、普及の可能性


そしてついに開始した「医療機関・クリニック向け」新サービス「stera pack for クリニック」の特徴は以下2点だ。

1. 診察の受付・予約管理が可能なアプリ「おまとめ診察券 byGMO for stera」を無料で 標準搭載

2. 医療機関向け決済手数料率を業界最安水準の 1.50%~に設定

医療機関・クリニックの診察券のデジタル化に対応した本サービスでは、紙の診察券が不要になり、端末の操作によって、患者の受付や予約管理も対応可能という。


三井住友カードのプレスリリース資料より

「診察券アプリ」でペーパーレス



三井住友カードのプレスリリース資料より

「おまとめ診察券 by GMO forstera」は、GMO医療予約技術研究所が提供するアプリだ。

診察券をデジタル化した本サービスでは、紙の診察券の提示が不要だ。患者は、スマートフォンでおまとめ診察券アプリを起動し、アプリ上のQR コードを stera terminalの患者側のカメラにかざすことで受付が完了する。医療機関は、stera terminalの医療機関側の画面で、患者の名前・予約時間・診察内容・診察券番号等を確認し、問診準備を始めることができる。問診後、決済と並行して stera terminal上で次回の来院を予約登録することも可能だ。


〈受付時〉 〈受付状況・予約管理〉 〈次回予約登録時〉
おまとめ診察券 by GMO for stera ― stera terminal(医療機関側)スクリーン画面

スマートフォンを持っていない患者には、受付票及び予約票を印刷する。予約票にはQRコードが印字され、診察券に代替することが可能だ。

同社は、stera terminalを決済端末としてだけではなく、様々な業務のデジタル化を図れるIoTデバイスとして活用できるよう、さらなるキャッシュレス化及びデジタル化の促進に取り組む計画だ。

近年、医療機関・クリニックにおけるキャッシュレス化は日本医師会ORCA管理機構をはじめとする多数の企業が推進している。海外では、新型コロナウイルスの検査・診療機関で「SumUp Air Card Reader」や「SumUp QR Codes」のスマートフォン決済を採用する動きも見られる。

コロナ禍における支払い方法がオンライン・シフトする傾向にある中、医療機関・クリニックを主に対象としたキャッシュレス決済のさらなる普及が期待できそうだ。

編集=石井節子/我満萌香

タグ:

    ForbesBrandVoice

    人気記事