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2022.02.21 17:00

分散型金融のトップ投資家32歳が語る「DeFi」の理想と現実

Getty Images


2011年、ビットコインとの出会い


カールソン・ウィーが暗号通貨に出会ったのは、ニューヨーク州北部にあるヴァッサー大学の3年生だった2011年の夏のことだ。ゲームマニアだった彼は、地下の麻薬市場の「シルクロード」がビットコインで成り立っているという記事を読んで興奮し、当時は2ドルから16ドル程度の価格で推移していたビットコインに全財産ともいえる700ドルをつぎ込んだ。
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2012年に大学を卒業した彼は、ワシントン州で木こりのアルバイトをした後に、その年に設立されたばかりのコインベースの創業者のブライアン・アームストロングとフレッド・エールサムにEメールを送り、カスタマーサービス担当として採用された。

彼は、プログラムの知識をほとんど持たなかったが、顧客サービスの多くを自動化することに貢献した。カールソン・ウィーは、その頃既にこの業界で成功するのは将来に対する強いビジョンを持った起業家であることに気づいていた。

しかし、コインベースの事業が拡大し、メインストリームになるにつれ、当局の規制への対応に追われるようになり、そのことに不満を感じ始めた。
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当時の彼が最も心を惹かれたのは、ビットコインとは異なり、理論的にはあらゆる種類のデジタルプラットフォームを稼働させることが可能なイーサリアムだった。ヴィタリックが考案したスマートコントラクトを使えば、フェイスブックやグーグル、ウーバーなどの分散型バーションを実現できると考えた。

そして2016年にカールソン・ウィーは、コインベースを辞めて自身でヘッジファンドを立ち上げた。

DeFiの熱狂


現在のDeFiブームの原動力となっているのは、「レバレッジ」であり、資金調達の観点から考えると、DeFiの熱狂はかつてのICOブームと同じ性質のものなのかもしれない。2016年と2017年のICOの大半は、疑わしいプロジェクトで、透明性はほぼ皆無で、一攫千金を夢見た投資家たちから数十億ドルもの資金を奪っていた。

しかし、DeFiの場合は、プラットフォームに参加する投資家が、イーサやUSDコインなどをピア・ツー・ピアで他の参加者に貸し出すだけなので、ICOよりは無害だと言えるだろう。DeFiの投資家は、関連サービスに暗号通貨を預けて、流動性を提供する見返りとして、大金を得ることが可能で、この仕組みはイールドファーミングと呼ばれている。

例えば、あなたが1万ドル相当のイーサを持っていた場合、それをCompoundのようなDeFiプラットフォームに預けて、他の人が一定期間借りられるようにすると、年間30%もの利回りを得られるのだ。

さらに、参加者には別のボーナスがある。Compoundの場合はCOMPという独自のトークンが与えられ、ネットワークの運営に関わる投票権を得られることに加えて、値上がりが期待出来る。COMP トークンは、2020年6月のローンチから2021年半ばまでの間に、約65ドルから800ドル以上に上昇した。

理想はさておき、実際のところ、DeFiは一攫千金を狙う投機家にとってのパラダイスだ。Compoundでイーサを貸し出すことで得られるCOMPトークンは、Uniswap(ここもまたポリチェーンの投資先)などの取引所に預けることができ、そこで同様に利子を得て、さらに無料のトークンを得ることができ、UniswapではUNIトークンを獲得できる。そして、そのUNIトークンをSushiSwapに預けてSUSHIトークンを得るといった具合だ。

これはまるで自己増殖するバブルのような話だ。2月初旬現在で、UniswapやSushiSwapを含むDeFiプラットフォームの過去12カ月間の取引額は月平均で500億ドルを超えている。

そして、事態は必ずしも順調とは言い難い。Chainalysisの試算によると、2021年に盗まれた32億ドルの暗号資産のうち72%がDeFiサイトからのものだった。エリザベス・ウォーレン上院議員のような強力な反対派が、DeFiを「クリプトワールドの最も危険な部分」と呼ぶのも納得できる。
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翻訳・編集=上田裕資

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