キャリア・教育

2022.04.14 08:30

雇われないが「事業主」とも違う。新しい成功法「非会社員」とは

石井節子
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この数年世界は、新型コロナウィルスに翻弄され続けている。医療・保健関係は言うに及ばず、飲食及びサービス業やイベントにまつわる仕事など、集客を旨とするあらゆる業界が壊滅的なダメージを負った。

更には、集客やサービスとは無縁と思われていた第一次産業までもが、深刻なダメージを被っていると聞くと、現代社会の構図そのものが、同じ(集客=消費)の地平に立っているのだと思い知らされた気がする。未知のウィルスとは、これほど社会に打撃を与えるのかと、改めてその脅威のほどを思い知らされた。そんな数年だった。

すでに引退の身の私などはまだしも、現役世代はたまったものではない。キャンパスライフはおろか、出会うはずのクラスメートと肩を並べることもなく、やっとの思いで獲得した「内定」を失うようなこともあるらしい。おそらくは青春のただ中にあるはずの彼らだが、その真っただ中の景色とは、いったいどのようなものだろう。そんな若者たちが気の毒でならない。

果たして社会に出るとは、社会人になるとはどういうことなのだろう。

考えてみるに、それはひとえに「経済活動に勤しむ」ことに尽きる気がする。などと、これから世に出ようとする若者たちの、ダッシュの利かないスタートに思いを寄せているところに本書『「非会社員」の知られざる稼ぎ方』(光文社新書)と出会った。

著者は、ライター、漫画家、イラストレーター、カメラマンなど多様な肩書を持ち、ホームレスや新興宗教や青木ヶ原樹海などに潜入&体験取材で活躍している村田らむ氏。近著に『樹海考』(晶文社)、『ホームレス消滅』(幻冬舎新書)、『人怖 人の狂気に潜む本当の恐怖』(竹書房)などがある。

かつて、似たようなフィールドで仕事をしてきた私には、著者の逞しいバイタリティと、それに勝る才能のほどが窺い知れる。そんな著者が、近年流行りの「非正規雇用」でもなければ「フリーター」でも「自営業」でもない、「非会社員」と呼ぶ人びとの稼ぎ方をどう紹介するのか、興味が増してきた。
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文/森健次

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