アカデミー賞、「パワー・オブ・ザ・ドッグ」が大本命と言われるワケ



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ジェーン・カンピオン監督は、1954年、ニュージーランドのウェリントン生まれ。その後、オーストラリアのシドニーで映画制作を学ぶ。彼女を一躍有名にしたのは1993年に発表した「ピアノ・レッスン」。19世紀にスコットランドからニュージーランドに花嫁として渡った女性の道ならぬ恋を描いた作品は、カンヌ国際映画祭で女性監督の作品としては初めてのパルム・ドールに輝いた。

寡作な監督で、「パワー・オブ・ザ・ドッグ」は、前作「ブライト・スター いちばん美しい恋の詩」からは12年ぶりの新作。脚本も彼女自身が執筆しており、まさに長年あたためていた満を持した作品と言ってもよい。

前述のように、アカデミー賞では最多の12のノミネートを得ており、監督賞、脚色賞、主演男優賞のベネディクト・カンバーバッチ、助演男優賞のコディ・スミット=マクフィー、助演女優賞のキルスティン・ダンストの受賞にも期待がかかる。

なかでも作品賞は、アカデミー賞では「Best Picture」と表記されており、文字通りその年の最優秀作品。このところネットフリックス発の作品は、毎年のように作品賞にノミネートされているが、受賞するまでには至っていない。それだけに「パワー・オブ・ザ・ドッグ」が作品賞を受賞すれば、ネットフリックスとしては積年の悲願達成となる。

また、ネットフリックス作品は、今回、各部門で計10作品27ノミネートを獲得しており、映画界全体にも、今後の作品づくりや上映システムの在り方に関して大きな課題を投げかけているのかもしれない。いずれにしても「ドライブ・マイ・カー」の歴史的ノミネートもあり、3月27日の授賞式を楽しみに待ちたい。

第94回アカデミー賞 ノミネート作品


作品賞
「ベルファスト」
「コーダ あいのうた」
「ドント・ルック・アップ」
「ドライブ・マイ・カー」
「DUNE/デューン 砂の惑星」
「ドリームプラン」
「リコリス・ピザ」
「ナイトメア・アリー」
「パワー・オブ・ザ・ドッグ」
「ウエスト・サイド・ストーリー」

監督賞
ケネス・ブラナー 「ベルファスト」
濱口竜介ドライブ・マイ・カー
ポール・トーマス・アンダーソン 「リコリス・ピザ」
ジェーン・カンピオン 「パワー・オブ・ザ・ドッグ」
スティーヴン・スピルバーグ 「ウエスト・サイド・ストーリー」

連載:シネマ未来鏡
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文=稲垣伸寿

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アカデミー賞 2022

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