演奏後は、専用車で一路レストランへ。車内でも、会場の余韻をそのままに、“Moon and Bubbles”が流れる。到着したのは、クリュッグアンバサダーのひとつであるThe Okura Tokyoのメインダイニング、高橋哲治郎料理長が率いる「ヌーヴェル・エポック」だ。
The Okura Tokyo メインダイニング料理長 髙橋哲治郎
今回ローンチしたクリュッグ グランド・キュヴェ 169 エディション、さらにバックヴィンテージの161をジェロボアムボトルで、さらにクリュッグ・ロゼ 25 エディション。それに合わせた3皿のコースが提供された。
視覚的な情報を控えて音と味、香りに集中したミュージックペアリングから、今度は一気に鮮やかな色彩の世界が飛び込んでくる。
クリュッグ グランド・キュヴェ 169 エディションとのペアリングとして提供された「碧海に潜む蝦夷バフンウニと熟成ゆり根のエスプーマ」は、鮮やかなブルーとウニのオレンジのコントラストも見事。熟成されることで自然な甘みを増したゆり根は、クリュッグの泡とマッチするエスプーマ仕立て。ウニが獲れる日本の海の情景が浮かんできた。
続いてのクリュッグ グランド・キュヴェ 161 エディションのペアリングは、「セロリラブの鱗を纏った甘鯛 黒トリュフと仏手柑のアローム」は、雪景色のような模様の入ったグレイの皿に、白い根セロリのソースと、雪をひとひら、またひとひらと集めたドレスをまとったような甘鯛だ。
クリュッグ・ロゼ 25 エディションは「秋の霞に包まれた新潟平野のコルヴェール 真紅の赤ワインソース」と合わせて。
碧海、黒、真紅。色に焦点をあてたネーミングが、実際に視覚で把握する色合いの印象をさらに深める。人間は、こんなにも豊かな「五感」と、それから生まれる想像力を与えられていたのか、と実感する。そして、それぞれの感覚世界を、普通の人々よりきめ細かく捉え表現する能力を持つあまたの才能が存在する。そんな人間社会とは、なんと豊かなことなのだろう。
ことに、コロナ禍でリアルな感覚が制限され、感受性が高まっている今、個性あふれる才能に触れ、価値を呼び戻す価値は大きい。心の旅に出るかのように、グラスを傾けるのも、きっと悪くない。