マネー

2022.01.26 08:00

こんなNFTアートがおもしろい。弁護士の私が昨年買ったものは?


ランダムなドットを線で繋ぐことで広がる思考


エキソニモ「CONNECT THE RANDOM DOTS 」



エキソニモ「CONNECT THE RANDOM DOTS #17」(2021)
出典:OpenSea


エキソニモ「CONNECT THE RANDOM DOTS #17 (ドローイング)」(2021)
出典:CONNECT THE RANDOM DOTS


エキソニモ「CONNECT THE RANDOM DOTS」書籍
出典:WAITINGROOM

CONNECT THE RANDOM DOTS」は、ニューヨークをベースとする千房けん輔と赤岩やえによるアート・ユニット「エキソニモ」による「ランダム」をテーマにしたプロジェクト。子どもが順番に線を繋いでいくことで絵を描く「点つなぎ」から着想していて、点の位置はコンピューターでランダムに決定されている。

東京の江戸川橋にあるギャラリー「WAITINGROOM」で2021年10月16日 から11月14日まで開催された展覧会「CONNECT THE RANDOM DOTSでは、アーティストが手描きで線を繋いだドローイングが展示された。

線を引く前のドットを打ったページが書籍として構成されていて、各ページのNFT、ドローイングと書籍がセットで販売された(書籍だけ購入は可能)。作品の購入もプログラムを用いたランダムの抽選で申込者から選ばれた。なお、ページ#1と#2は、エキソニモの保有になっている。

書籍のいくつかのページには、短い文が加えられている。ページ#1には次の文が添えられていて、ランダムなドットを線で繋ぐ行為に各々の物語をイメージする余地が広がる。

「In a random world
I was born
In a random generation
In a random place
In a random ethnicity」

筆者が当選し、購入したのは「CONNECT THE RANDOM DOTS #17」で、ドットの数はなんと10000。

#15(ドットの数400)くらいまでは、繋いだ線によって抽象絵画のような美しさも感じられるかもしれないが、#17のドットの数10000では、画面全体がほぼドットで埋め尽くされる。10000にもなると、もはや人の手によって線を繋ぐ行為自体が狂気染みてくる。筆者が#17に申し込んだ理由のひとつは、アートでなければやる人がいない不合理な領域に入ると思ったからだ。

また、無償で10000体配布され、現在は数千万円から数億円で取引されて代表的なコレクティブルとなっている「CryptPunksという作品もあって、「10000」はNFTでは象徴的な数字になっていることも惹かれた理由だ。

購入者が書籍の各ページをNFTとして保有する枠組みも興味深い。NFT保有者によって形成されるコミュニティーとしての機能を意識した設計だろう。

ちょうど美術手帖(2021年12月号)特集「NFTアートってなんなんだ?!」で筆者もエキソニモもテキストを寄稿していて、同じ雑誌の異なるページに名前があった。もちろん、完全なる偶然だが、ランダムであっても何か意味や必然を見出してしまう。

一見、無機質なランダムを線で繋ぐ。実はとても人間らしい行為なのかもしれない。
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文=木村剛大

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