もし、あなたがソートリーダーのようなマーケティング能力を発揮して優良顧客を引きつけたいのなら、その道のエキスパートになれるよう努めなくてはならない。その専門分野が多くの人にタブー視されているものなら、なおさらだ。
そこで参考にしたいのが、女性の「性的な健康とウェルネス」分野におけるソートリーダーの1人、レイチェル・ブラウン・シャール(Rachel Braun Scherl)のキャリアだ。女性のセクシャルヘルスという世界数十億ドル規模の市場構築に貢献しているシャールは、この分野のアントレプレナーということで、「vagina(女性器、米国での発音はヴァジャイナ)」をもじった「vagipreneu(ヴァジプレナー)」を自称している。
「ある分野で専門性を高めるには、継続的な学習、革新的な思考、パートナーシップの構築、そして困難に立ち向かう姿勢が求められる」とシャールは言う。「女性の性と生殖の健康という分野においては、それが特に重要だ。この分野では、起業家たちがソリューションを生み出し、会話を生み出し、成長を促進している」
シャールは、女性の健康と性的快楽に関連したビジネスに関する会話を刺激しようと、公の場で堂々と、かつ情熱的に発言することに多くの時間を割いている。
シャールは、米国のビジネス界で成功した後、自身の経済的な未来をもっと自分の手でコントロールしたいと考え、起業家に転じた。長年のビジネスパートナーであるメアリー・ウォレス・ジャンシュ(Mary Wallace Jaensch)と共同で「SPARK Solutions for Growth」を設立して以降、シャールは国際的な顧客基盤を構築しており、そのなかにはジョンソン&ジョンソンやアラガン、ファイザー、メルク、バイエルといった企業の部門が含まれている。
なお、筆者がシャールと知り合ったきっかけは、「女性の性的な健康とウェルネス」という急成長が見込まれる分野で利益を得ることをテーマとした書籍で、筆者が編集を手伝ったことだ。
「『得られるものの大きさ』への認識が高まるのに伴って、医療、婦人科、性、生殖関連の幅広いニーズに応える企業の設立がブームになっている」とシャールは言う。「私は、女性の性に関する固定された見方を変えることに情熱を注いでおり、そのなかで会話の創出を重要視している。表現するための言葉をもたなければ、会話や進歩は、始まる前に止まってしまう」
シャールは、女性の健康と加齢に関する切迫した懸念を偏見から解き放つためには、今日の業界リーダーたちに、女性のセクシュアリティの複雑さを表現する言葉が必要だ、と強く感じている。
「共通の言語があれば、各社は、歴史的にタブー視されてきた分野でもビジネスを成長させることができる」とシャールは言う。「そうした専門性を構築するための第一歩は、そのテーマに没頭することだ。そして、女性の健康に関して詳しいのは、誰よりも当の女性たち自身だ」