上司と「友人」になってはいけない、これだけの理由

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あなたが職場で上司と良好な関係を築いていたとしても、一定の線引きをしておくことが大切だ。

起きている時間の大半を仕事に費やしているとき、チームのメンバーや会社の幹部たちと絆や親交を深めたくなるのは自然なことだ。実際、職場の親善をはかると、従業員の全体的な幸福度や生産性が上がることを示した研究もある。

ただし、注意すべきは、自分の上司と「友人」になってはいけない、ということだ。それはなぜか説明しよう。

仕事とプライベートの境目があいまいに


上司と個人的に親密な関係になると、仕事とプライベートの区別がつきにくくなってしまう。もちろん、時々、仕事あがりのサービスタイムの時間帯などに上司と飲みに行くのはいいことだろうし、仕事に影響が出るかもしれないプライベートな事情について、折に触れて上司に伝えておけば、それなりに配慮してもらえもするだろう。

けれど、友情とは、対等な立場にある二人の間に成り立つ互恵的な関係である。それに対して、あなたと上司の力関係は対等ではない。簡単に言えば、上司はあなたを解雇できるのだ。

ちょっと考えてみてほしい。週末、上司からプライベートな内容のメールが送られてきたとする。あなたはそれに、「返信したいから」返信するのではなく、「相手が上司だから」返信しないといけないと感じるのではないだろうか。休日も業務をさせられているような気がしてきて、いらだちをおぼえるかもしれない。

職場で上司と良い関係を築き、プライベートな話をし合う仲になっても、仕事とプライベートの境界があいまいになってしまわないように、一定の心理的距離を保つようにしよう。

「伝えすぎ」て反感買い、キャリアに響く懸念


上司と友人になったように感じている場合、わたしたちは上司に仕事に対する不満を語ったり、転職活動をしていることを明かしたりと、情報を伝えすぎてしまうことがある。上司と接するうえでは、やはり「上司と部下」という職場の関係をわきまえておくべきだ。上司に自分の本音などを伝えすぎていると、上司はそうした感情を自分に対する当てつけととり、あなたから成長や昇進の機会を奪ってしまうかもしれない。

「知りすぎ」て仕事に差しさわるおそれ


上司のほうが知らせすぎてしまうこともある。たとえば、まだ決まったわけではないが行われる可能性のある解雇やリストラ、減給の計画について上司から聞かされたとしよう。こうした「もしも」の話は、あなたにとってはなんの役にも立たないだろう。あるいは、上司の抱えているストレスについて事細かに聞かされ、そのメンタルサポートをしなくてはならなくなったとしたら? 知りすぎると余計なストレスが増え、仕事にも支障をきたしかねない。

同僚からは嫌われ、上司の評価は厳しくなるかも


上司と懇意になると、同僚たちとの関係がぎくしゃくし、彼らの感情を傷つけたり、敬意を失ったり、恨みを買ったりするかもしれない。えこひいきされているとも受けとられかねない。上司は職場の圧力を感じて、逆にあなたに厳しく接したり、あなたの昇進や昇給を見送ったりするかもしれない。

忘れてはならないのは、上司は結局、あなたを解雇しろと言われればそうしなくてはならない立場の人だということだ。上司には友情ではなく、メンター役、リーダーシップを求めよう。

あなたが上司との間に本当に縁を感じているのなら、どちらかが別のポジションに移ったあとも、連絡をとり続けるようにすればよいだろう。

編集=江戸伸禎

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