15台ほどの電動車の前に立った社長は、「一つの選択肢だけで全ての人を幸せにすることは難しいと思います。市場が欲しがっているいくつかの電動パワートレーンに力を入れます」と言って世間を驚かせた場面は、強いインパクトがあった。
つまり、トヨタはこれから電気自動車(EV)の普及に力を入れるが、同時に、市場のあらゆるニーズに応えるために、プラグイン・ハイブリッドや燃料電池車のラインアップも増やすということだ。その幅広い選択肢の発表にメディアはなるほどとうなづいたけど、今、世間が注目しているのは、なんといってもEVだ。さて、EV状況はいったいどうなっているのか探ってみよう。
2021年12月14日に行われた「バッテリEV(BEV)戦略に関する説明会」での豊田章雄社長
最近、多くのメーカーがEVシリーズを発表しているけど、そもそも、EVはどこまで浸透しているのか。調べによると、欧州の2020年の新車登録におけるEVの割合は5.6%だし、アメリカは3.0%、そして日本は1%をギリギリ超えたそうだ。ところが、アメリカのビジネス・インサイダー誌は、来年はアメリカのEV市場は5%にまで伸びると予想している。また、日本は2%に向かっているという情報もある。やはり、EVの成功の鍵を握っているのは、どれだけ魅力的な車種は出せるか、インフラや航続距離はどのぐらい向上できるのか、だと思う。
間違いなく、2021年はEVへのシフトにとって重要な年だった。日本では、トヨタbZ4X、スバル・ソルテラ、マツダMX-30、アウディe-tron GT、メルセデスベンツEQA、BMW i4などが発表された。また、アメリカでは、フォード・マスタング・マッハE、テスラ・サイバートラック、GMCハマーEV、リビアンR1S、1,111psを発生するルーシッド・エア、フィスカー・オーシャン、VW ID.4、ヒュンダイ・アイオニック5、そして中国製のバイトン・MバイトやニオET5などが発表された。ちなみに10ほど年前に、中国政府がEV産業を開拓しようということでスタートアップのEV社に対して補助金を出し続けてきているおかげで、なんと今は300社以上のEVスタートアップが存在する。
スバル SOLTERRA
マツダMX-30