キャリア・教育

2021.12.30 20:00

大離職時代の転職、その前に「ネガティブ思考」を見直してみよう

Getty Images

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米国では、大挙して仕事を辞める人が続出する「大離職時代(The Great Resignation)」が訪れている。そうした波に、思わず自分も流されそうになるのは簡単だ。人間は、大勢が同じことをしていると、ついその後に続いてしまうものだからだ。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを2年近くも耐え忍び、大切な人が感染したり命を落としたりするのを目の当たりにすれば、人生観は一変する。人生は短いと気づいた我々は、集団的な「実存的危機」のなかにある。残りの人生をどう生きていくべきかを考えているのだ。

こうしたとき、目的や意義がある仕事、もっと高収入が得られる仕事を探す、という考えは魅力的に見える。特に、自分の行動を細かいところまで管理したがる上司の下で、まったく進歩できずに足踏みしているのであればなおさらだろう。

けれども、大離職時代の波に乗って転職を思い切る前に、そうしようとしている理由についてじっくりと考えてほしい。新しい仕事探しをする際に圧倒的に多く聞かれるのが、上司や会社に何らかの非があるという声だ。悪いのはすべて会社や上司であり、そこから逃れるためには、次の仕事に移る以外の手はない、というわけだ。

確かに、上司や会社が悪いこともある。しかし、自分のほうになんらかの問題がある場合もあるかもしれない。

自分以外の人間に責任を擦りつけたほうが気はラクだ。しかし、他の問題が絡んでいる可能性もないわけではない。自分は単に問題から逃げようとしているのではないかと振り返ってみよう。転職したとしても、結局そこでも、みじめで不満だらけの日々を送ることになるかもしれない。

大半の人は、過剰なほど自分自身に批判的だ。自分の欠点をくよくよ悩み、否定的な考えが、頭のなかでぐるぐると無限にループしている。表面的には立派な大人であっても、過去のトラウマや失敗、自信のなさという重荷を抱え、それをいまだに引きずっている。仕事を辞めさえすれば魔法のように別の人間に生まれ変われるはずだと、すがるような希望を抱いている。新しい仕事に就けば、すべてはうまく行く。環境が変われば、きっと幸せになれるだろう、と。

けれども、新しい仕事が解決策になるとは限らない。転職しても、何も変わらないことだってありうる。結局はそこでも惨めな思いをする羽目になるかもしれない。

転職は、旅行や引っ越しと似ている。新たな世界や環境に身を置くと、はじめは高揚感に包まれるものだ。ところが、時間が経つにつれて、変わったのは場所だけで、自分自身も、自分が抱える問題も、いっさい変わっていないことに気がつく。

キャリアのなかで下してきた、まずい決断のすべてについてクヨクヨと自問しているのは、あなただけではない。休みが少ないと嘆いたり、自分を差し置いて他の人が昇進したことでショックを受けたりしているのも、あなただけではない。大学選びを間違えてしまい、未来が望めない専攻を選んでしまったと思ったり、友人が自分を通り越して出世していくのを残念に思ったりするのは、あなただけではない。

こうしたネガティブな思考や自己不信については、新しい仕事を探すために履歴書を書き直したり、リンクトインのプロフィルを更新したりする前に、ちゃんと向き合う必要がある。そうしなければ、新しい仕事が見つかったとしても、悲観的で敗北主義的な姿勢は変わらないだろう。
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翻訳=ガリレオ

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