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2021.12.30

「宮脇方式」の森で二酸化炭素を削減 米ワイナリーで初の試み

(c) Chamisal Vineyards


宮脇方式の森を作るデメリットの一つはコストと労力で、他にも初期の水やりの必要性がある。しかしデュ・フレネは、シャミサル・ヴィンヤーズでの投資はそれほど高額ではなかったと述べ、「宮脇方式の森作りにかかったのは植物と労働を含めて1万ドル(約110万円)以下だ」と説明した。

炭素クレジットの換金


フォーブスでは今年4月、カーボンオフセットが巨大市場になりつつあるとの記事が掲載されたため、シャミサル・ヴィンヤーズはおそらく正しい道を歩んでいる。同記事の著者ロブ・デーによると、一部の専門家は現在、将来のオフセット価格が二酸化炭素1トン当たり100ドル(約1万1000円)になると予想している。

カーボンオフセットの反対派は、オフセットは環境を汚染する業者に直接的な二酸化炭素の排出量を削減させることなく、汚染の継続を許すだけだと主張している。しかし、カーボンニュートラル(二酸化炭素の排出量が実質ゼロの状態)を絶対に達成できないような業界もあるかもしれない。そこで必要になるのがクレジットの購入だ。

シャミサル・ヴィンヤーズでのカーボンネガティブ運動


シャミサル・ヴィンヤーズは、他にも多くの活動を通して二酸化炭素の排出量の収支をマイナスにすることを目指している。同社は、ワイン業界で最も多くの二酸化炭素を生んでいる原因であるワインボトルの重量を削減し、これまでに約40トンのガラスを削減した。

また、太陽光発電の設置や冷蔵コストを減らすための冷却庫の性能改善、排水のリサイクルや廃棄物の堆肥化、有機農法の実践、ぶどう畑の土壌を耕さないことなどの方針も採用され、二酸化炭素の排出量が削減されてきた。

デュ・フレネの上司で、シャミサルが所属するクリムゾン・ワイン・グループ(Crimson Wine Group)の最高ワイン生産・執行責任者であるニコラス・キーエは、シャミサルが森林構築の活動を通してリーダーシップを示したことを誇りに思っている。

「宮脇方式の森は景観を美化し、当社の環境への熱意を訪問者や従業員に対し示すものだ。この森は具体的かつ実践的なプロジェクトを通し、当社のぶどう栽培やワイン生産、マーケティングの各チームを団結させている。このプロジェクトは、クリムゾン・ワイン・グループの他のワイナリーにも拡大できるものだ」(キーエ)

翻訳・編集=出田静

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