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2021.12.30 08:00

「宮脇方式」の森で二酸化炭素を削減 米ワイナリーで初の試み

(c) Chamisal Vineyards

(c) Chamisal Vineyards

日本の植物学者の故・宮脇昭が、都市部における天然林の成長率を上げる方法について研究を始めたのは1976年だった。その後、宮脇方式の森は世界中の多くの国に作られてきたが、米国では非常に少ない。

カリフォルニア州エドナバレーにあるワイナリー、シャミサル・ヴィンヤーズ(Chamisal Vineyards)はこのほど、ぶどう畑の隣に宮脇方式の森を作った米国初のワイナリーとなった。

同社のゼネラルマネジャーでワインを製造するフィンタン・デュ・フレネは「私が宮脇方式の森林について調査を始めたのは2020年。それから2021年の春に土壌を準備し、この土地に固有のオークの森から木を45種と、土地固有の大小さまざまな低木を植えた」と語っている。

宮脇方式の植林プロセス


宮脇方式の森は、サイズがそれほど大きくないため小さな森とも呼ばれているが、その代わり非常に急速に成長する。植林のために最低必要な土地の広さは、縦横3メートルと4メートルで、都市部に理想的な大きさだ。

地方にも植林することは可能で、その場合はより大きな範囲に植林できる。シャミサル・ヴィンヤーズの宮脇方式の森は縦横の長さが約3メートルと約60メートルで、合計500本の植物が植えられている。

宮脇方式の森を作るには、地面を少なくとも約1メートルの深さまで掘り、有機物で埋めて準備をすることが必要だ。その後、多くの異なる種類の現地固有の木や低木をそれぞれ非常に近い距離に植え、光を求めて互いに競争させる。

これにより、成長速度が非常に早くなる。最初の2年間は水やりと草むしりをして、有機肥料(人工・化学肥料は使わないこと)を与える。3年目になると、森林は維持管理が必要なくなる。


植林してから9カ月の宮脇方式の森(By BemanHerish - Own work, CC BY-SA 4.0

宮脇方式の森を作るメリットとコスト


研究からは、宮脇方式の森には多くのメリットがあることが示されてきた。従来の森は十分に成長するまで200~300年かかるが、宮脇方式の森はわずか20~30年ほどで成熟する。成長速度は10倍で、密度は30倍、さらに3年すれば維持管理も不要だ。

宮脇方式の森は、約600種類もの鳥や虫、動物を集めることができる。またこうした森は、気温を最大で5度下げるとともに大気汚染を緩和し、さらには二酸化炭素の吸収源として機能することが証明されている。

フレネは次のように述べた。

「現在、二酸化炭素に関して驚くべきことの一つは、宮脇方式の森とぶどう畑が二酸化炭素を吸収することで、当ワイナリーがカーボンネガティブ(二酸化炭素の放出と吸収の収支がマイナスになること)になれると考えられる点だ。

「将来はこのクレジットを売ることができる。しかしそこに至るためには、現在はまだコストがかかり損失が生じているけれども、現段階で作業しなければならない。」
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翻訳・編集=出田静

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