ワイン産業も例外ではない。カリフォルニアは、環境への配慮や気候変動に対する対策といった、サステナブルな(持続可能な)ワイン造りに関して、世界のワイン産地のなかでも先行している。こういった取組みは、ワイン産業が、今後も成長を続けるために重要かつ必須であり、その注目度は年々高まっている。
これは、生産者による、環境や人の健康に配慮したワイン造りを目指すという意識の高まりと同時に、特に若い世代を中心とした消費者たちが、ワインを購入する際に、味だけではなく、そのワインがどのようにできたかという背景への関心を寄せることが増えていることも一因であろう。
実際、アメリカの消費者意識に関する2020年の調査では、ワイン愛飲家の71%がサステナブルな方法で生産されたワインの購入を将来的に検討すると回答し、ミレニアル世代の10人中9人は、サステナブルなワインにもっとお金を払ってもいいと思っているという結果がでている。
カリフォルニアワイン協会の取組み
サステナブルなワイン造りとは、土地に配慮したブドウ栽培、水やエネルギーといった限られた資源の利用方法、化学農薬等の使用制限、従業員や隣人などコミュニティへの配慮など、多岐にわたる。
非営利団体のカリフォルニアワイン協会(California Wine Institute)は、20年以上前から、カリフォルニアでのブドウ栽培とワイン造りが、長期にわたって持続可能なものになることを目指し、認証基準や指針を出すなど、その促進に取り組んでいる。
その中核となる理念は、環境面で健全で(environmentally sound)、社会的に公正で(socially equitable)、また経済的に妥当(economically feasible)であること。
これらを実行するために、約500ページからなる規範(コード)を作り、第三者による認証(certified)制度を設けている。これは、消費者に、透明性と信頼を与えるものだが、実に、カリフォルニアのワイナリーの80%がこの認証を受けていて、広く普及している。中でも、先進的な取組みをおこなっている2つのワイナリーを紹介したい。